コラム

「顔立ちをはっきりさせる、2つのこだわり」
ヒトデのこと

【目次】

「暮らしの時間」と「すてきな人」その人たらしめている「2つの時間」を、伝える「暮らしの時間」が、日本の「働く時間」を彩り豊かに優秀かどうかではなく「すてき」かどうか自然で何気ない、日常の積み重ねの中にある「文化」顔立ちをはっきりさせる

「暮らしの時間」と「すてきな人」

釣りにBBQ、早朝のキャッチボールに深夜のフットサル。今年の夏の思い出、ではなく、どれもヒトデの取材で出会ったワンシーンだ。ヒトデには、2つのこだわりがある。「働く時間だけでなく、暮らしの時間も伝える」「優秀であるかが基準ではなく、すてきであるか、で取材する社員を選ぶ」。どちらも「人で見つける私の仕事」を体現する重要なこだわり。今回はこの2つのこだわりについて、掘り下げて話をしようと思う。

その人たらしめている「2つの時間」を、伝える

情熱大陸の中で一番好きなシーンは、出演者のプライベートを捉えるシーン。テレビに引っ張りだこの有名タレントが、実は庶民的だったり、第一線で戦っている一流アスリートの趣味が自分と同じだったり、普段は見ることのできない一面に、思わず釘付けになる。「こんな人なんだなぁ」グッと距離が近くなるのを感じる。

人は必ず、2つの時間を生きている。働いている時間と、それ以外の、暮らしの時間。2つの時間がはっきり別れている人もいれば、ほとんど同一の人もいる。グラデーションの違いはあれど、誰もがこの2つの時間のうえを歩んでいる。人を丁寧に伝えようとした時、その人を、その人たらしめている2つの時間を伝えたいと思ったのは、自然なことだった。ヒトデは、必ず2つの時間を伝える。これが、1つ目のこだわり。

「暮らしの時間」が、日本の「働く時間」を彩り豊かに

「暮らしの時間」も、伝える。私たちがそこにこだわる理由は1つ。「暮らしの時間」を伝えることは、求職者と求人社の理想的な出会いに繋がるからだ。

「え!?プライベートも!?」ある会社での最初の打ち合わせ。暮らしの時間も取材したいと伝えた時の反応だ。とりわけ取材対象となっている社員さんは動揺している様子だった。求人のための取材と聞いていたのに、「お休みの時も取材していいですか」と質問されたのだから無理もない。それでも私たちは、ぜひ取材させて欲しいと頼み、家族との時間をカメラに収めさせていただいた。

「働く」と「暮らす」の距離は、少しずつ近くなっている。働き方改革やワークライフバランスの潮流の中には、「人はなんのために働くのか」という問いがある。「自分らしい人生とは何なのか」こうした問いを前に、「働く」と「暮らす」を切り離して考えることはできない。つまり、そこで働く人の「暮らしの時間」にも共感できる出会いこそ、仕事との理想的な出会い方なんだろうと思う。だったら、求人情報でもそれを伝えたい。そこで働く人がどんな暮らしの時間を過ごしているか、さらには、どんなことに幸せや喜びを感じているのか。それを知ったうえで、会社を選んでほしい。給料や雇用条件だけでなく、働く人で職場を決める。そうした価値観の拡がりが、もっともっと自分らしく働ける人を増やしていくのだと確信している。

日本の地方に目を向けると、そこには多様で彩り豊かなライフスタイルがある。自然と共に暮らす、コミュニティで助け合って暮らす、副業で暮らす。みんなバラバラだが、共通しているのは、その全てがその人らしいライフスタイルであり、働く時間と上手にバランスしているということだ。「この人のように働きたい、暮らしたい」一緒に働く人で仕事を決めるという価値観の拡がりが、日本の働き方をもっと彩り豊かにする。「暮らしの時間も伝える」というこだわりの根底には、こうした想いがある。

優秀かどうかではなく「すてき」かどうか

ヒトデの取材を決める際の基準は、「すてきな人であるか」だけ。これが、2つ目のこだわり。仕事ができるとか、エース社員であるかどうかは、全く気にしない。新人社員であろうと、パート社員であろうと、とにかくすてきであるかが最も大切であり、唯一の軸だ。では、すてきな人とはどんな人だろうか。実は定義めいたものはない。あるのは私たちの気持ちの高まりだけ。「この人、素敵だなぁ」とか「面白いなぁ」とか。「この人と働けたら楽しいだろうなぁ」話していると湧き上がってくる、こうした暖かい気持ちを大切にしている。

自然で何気ない、日常の積み重ねの中にある「文化」を伝える

会社の「文化」を伝えたい。すてきな人を取材する理由は、ひとえにそれだけ。会社にはそれぞれの文化がある。「空気感」や「雰囲気」と言い換えられるかもしれない。人がその人らしく働くために、最も大切な心臓部分は、この「文化」に共感できるか、あるいは馴染めるかだと考えている。だから丁寧に伝えたい、その会社が持っている文化を。この想いを形にしようとした時、たどり着いた答えが、そこで働く「すてきな人」を伝えるということだった。笑顔で「おはよう」と言える職場。プライベートな話も相談できる職場。困っている仲間にそっと声をかけられる職場など、数え上げたらキリがないほど、文化は多様性に富んでいる。どれ一つとして同じものはない。そして、こうした会社の文化形成に最も寄与しているのは、社員11人の人間性だ。それは会社の業績に影響するか、という視点だけでは測り得ない。文化形成に重要なものは、もっと自然で何気ない、日常の積み重ねの中にある。社員同士の日頃の挨拶かもしれないし、さりげない一言かもしれない。率先して職場を掃除してくれる、面倒見の良さかもしれない。つまり、会社の文化を形成するのが、社長でもなく、一部の優秀社員でもない。その会社で働く、なべて普通の、一般的な社員たちである可能性が大いにあるのだ。いるだけで職場が和む人、寡黙だけど仲間想いな人、よく笑う人、仕事に生きる人、趣味に生きる人、こだわりがある人、縁の下の力持ち、職人気質な人。それぞれの頭の中に、思い当たる人がいるのではないだろうか。どの会社にも、その中で自分らしく生き生きと働いている人がいる。そうした人たちこそが、会社の文化を形成している。いや、むしろ会社の文化そのものなんだろう。私たちが最も伝えたいのは、そうした人たちだ。これが私たちの考える「すてきな人」

会社の文化に共感のあるマッチングは、自分らしく生き生きと働く人を増やすことに繋がる。しかし、これまでは文化を知るチャンスはほとんどなかった。求人票にお給料や雇用条件は書いてあっても、文化はない。それもそのはず、文化は書けないのだ。文化はそれを形成する「すてきな人」を、しっかりと見つめることでしか見えてこない。丁寧に取材し、想いを伝える。近道はない。本音を聞き出すためには、信頼関係が不可欠のため、当然、時間がかかる。時には、本人すら言語化できていないことを感じ取る必要もある。合理的でないことなど、重々承知だ。しかし、それでも「文化」を伝えることは、求職者にとっても、求人社にとっても大切なこと。その一心で、「すてきな人」を伝え続けていこうと、決心している。

顔立ちをはっきりさせる

「暮らしの時間も伝える」と「すてきな人を伝える」2つのこだわりからヒトデが成り立っている。どれか1つでもいけない。2つ揃って初めて、ヒトデの輪郭が浮かび上がる。それでもまだまだ、顔立ちはぼんやりしている。ここからの道のりにも近道はないんだろう。ヒトデの想いを伝え続け、共感してくださる人を丁寧に伝える。そうした地道な取り組みを通じて、徐々に顔立ちがはっきりとしてくる。お給料でも、雇用条件でもない、人で見つける私の仕事。そんな価値観が、少しずつ、少しずつ、拡がればいいなぁと思う。そんな拡がりが日本の「働く」を彩豊かにしていくのだと思う。少しずつ、少しずつ

2017/9/23 秋吉直樹)