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「休日は子どもの補助輪を外す特訓してます」
ナヤズダイニング 上原和晃さん

【目次】

今思えば幸せにする責任とやりがいスタッフに寄り添う店づくり2つの約束しょーもないネタに救われる認めたくないけど お父さんとの特訓ルアーを動かすようにヒトコト求人情報

今思えば

「最近は子ども遊ぶのが楽しくなってきましたね。ちょっと前までパチンコばっかりしてたんですが」そう言ってくしゃくしゃに笑うのは香川県高松市にあるスペインバル「バルマル・エスパーニャ高松店」の上原和晃さんだ。このお店で店長を務める傍ら、プライベートでは大好きな釣りや子どもとの時間を楽しんでいる。スペインバルの店長というワイルドな響きに取材前は少し緊張していたのだが、目の前で優しく笑う上原さんを前に正直ホッとした。今思えばきっと上原さんも同じ気持ちだったのではないだろうか。取材を通じてスペインバル店長には似つかわしくない、意外な、そしてとっても素敵な一面を知る事ができた。

週末になると、家族連れやカップルがハレの日さながらにショッピングを楽しむ丸亀町商店街。地方都市では珍しい、今もなお元気な商店街としても有名であり、毎年多くの視察が来るほど。名実ともに「高松の顔」といっても過言ではない。そんな丸亀町商店街のど真ん中、赤い壁がひときわ目を引くのがバルマル・エスパーニャだ。蔵元直送の厳選ワインと一緒に生ハムや瀬戸内海の魚介をふんだんに使ったスペイン料理を楽しめる店として連日賑わっている。リンゴのお酒「シドラ」はすっきりと飲みやすかった。お酒があまり得意でない私でもツーツーといける。

幸せにする責任とやりがい

上原さんがバルマル・エスパーニャを運営するナヤズダイニングに入社したのは今から6年前の2011年。かねてから個人が営む飲食店で働いていた上原さんは、会社で飲食店を経営するスタイルに興味を持ち、ナヤズダイニングの門を叩くことになる。「お店が家から近かったってのもあるんですけどね。笑」何とも素直な人だ。一気に心を掴まれた気がした。そんな上原さんはインタビューの冒頭で、会社組織で飲食店を経営していることの面白さについて話してくれた。「そうですねぇ、会社と個人で大きく違うのは1つの店舗で働く人の多さですね。お店に関わる人の多さも全然違います。もちろん会社の方が関わる人が多い。元々個人店にいたので、会社で飲食店を経営するってこういうことなんやなぁって感じましたし、それが一番勉強になってます。会社の場合、関わる人が多いのでより結果が大切になってくると思うんです。今日の結果を受けて仕入れとかシフトとかも変更する必要があるかもしれない。ほんとに色んな所に気を使わないと、誰も幸せになれないんだなぁっていうのが分かりましたね。でも、そういうのを考えるのが楽しいんですよ」

日頃、大変だと感じる事についても話してくれた。「しんどいなと思うのは、教育の部分ですかね。飲食店なんで、社員だけじゃなくてアルバイトの方と協力しながら運営する必要があるんです。アルバイトの場合、仕事に慣れてきてもいつか卒業してしまって、また新しい子に一から教える必要があります。ここに関しては難しさを感じてますね」人によって教え方や任せる仕事を変えながらアルバイトへの教育を行っている上原さん。時には冗談を言い合いながら、一緒に働く人との信頼関係を築いていくことを心がけているそうだ。そんな信頼関係は働く人が活き活きと活躍する素敵なお店づくりにしっかりと生きている。

「彼が店長をしていると、店舗の運営がスムーズなんです」そう話すのはナヤズダイニング代表取締役の熊野さんだ。

スタッフに寄り添う店づくり

「食文化を通じての地域貢献」を企業理念に掲げるナヤズダイニング。魅力的な飲食店づくりができれば魅力的な町づくりができると考えている。「ただ料理を提供するのではなく、料理の先にある物語も含めてみなさんに提供していきたいんです。人が集まるお店づくりができれば、他のお店も自然と集まってくる。それがやがて人通りになって、町づくりにも貢献出来る。お店から文化を発信していきたいですね」

地域を元気にするためには魅力的なお店づくりが欠かせないと話す熊野さんだが、むやみに店舗出店を急ぐ事は全く考えていない。そこには一緒に働いてくれる人の幸せを優先する気持ちがあった。「やりたいことはたくさんあるんですが、それだけを優先させてしまえば必ず無理が出てきます。営業時間にしても店舗展開しても、今のスタッフに無理が無いように展開することを心がけているんです。休みが多くなる分、売上はもちろん減りますが、従業員の休日をしっかりと確保するという部分を大切にしてます。働く人が幸せでないと意味が無いですからね」

2つの約束

社員と一緒に地域貢献の歩みを進めていきたいと考えている熊野さんに、日頃の上原さんについても伺った。「彼は一言でいったら真面目ですよ。裏表の無い人間です。アルバイトの方とも非常に上手く信頼関係が作れてると思いますね。彼はシフトがスムーズに組めるんですよ。上手くコミュニケーションがとれない店長だと、休みに偏りが出る事があるんですが、本当にバランスよくやってくれてます」

魅力的なお店づくりの影には、一緒に働く仲間を大切にする店長の存在がある。この事をしっかりと理解している熊野さんは店長になる人材に、2つの事を約束してもらっているという。1つは真摯なこと、もう1つは公平なことです。この2つは店長していくうえで必要なんです。お客様に対してももちろんそうですが、アルバイトに対して横柄な態度をとったり、知識をひけらかしたりする店長ではダメです。真摯に、公平に、どうやれば彼ら気持ち良く働けるかということを店長は考える必要があるんです。店長によっては同じ店でも全く別の店のようになってしまうこともありますから、このことはとても大切です」2つの約束。スキルや経験ではなく、どちらも人として大切な心構えだ。思い切ってこんなことを聞いてみた。上原さんは店長として何点くらいですか。「そうですね。彼は…70点くらいですからね。まだまだですよ」そういって目を細める熊野さんはどこか誇らしげに見えた。自慢の息子を想う父親のようだ。

しょーもないネタに救われる

アルバイトと上手く信頼関係を築けている。その言葉を聞いて、意地悪にも直接アルバイトの方にお話を聞きたくなった。半ば強引に、その日出勤していた宮澤さんにもインタビューをさせていただいた。宮澤さんはバルマル・エスパーニャでのアルバイト歴1年の大学生だ。「気さくな店長なので、働きやすいですよ。僕らがやれることをきちんと理解していて、それを上手く割り振ってくれるのでとてもやりやすいです。営業時間が終わって賄いを食べながらよく話もします。『もっとこうしたらどうですか』とか僕らなりに話すんですが、そういうのもちゃんと聞いてくれるのが嬉しいですね」

一緒に働く人の事をよく見て、よく話を聞く。その相手が社員であっても社長であってもアルバイトであっても変わらないから信頼できるんだろう。そう感心していると、その信頼関係を裏付ける言葉が出てきた。「疲れてたり、テンションが下がってたりする時に、しょーもないネタで笑わせてくれるんですよ。全然面白くないんですが、疲れてる時には笑えたり救われたりするんです。笑」冗談まじりのその言葉には、きっと感謝の気持ちも込められている。宮澤さんはここで働くのが好きだそうだ。

認めたくないけど

「あの…僕、こんな所で働いてますけど、ビール一杯でベロベロになりますし、人がわちゃわちゃしている所嫌いなんですよね。笑」一瞬耳を疑ったが、間違いなくその言葉は高松の繁盛店バルマル・エスパーニャの店長の口から出てきたものだった。「『お前はよう遊んでそうやな』って良く言われるんですが、本当にそんなことないです。仕事終わったらすぐに家に帰ります。まぁ、みんなで盛り上がるようなワーって雰囲気は嫌いじゃないんですけど…苦手ですね。(笑)みんながワーッと盛り上がる場にいても、大抵隅っこでそれを見てるタイプです。そんな人間ですよ。僕は。人見知りなんです」

意外だった。飲食店で働く人、まして店長という人は、威勢が良くてみんなの輪の中心にいるような人ばかりだと思い込んでいたが、上原さんは違った。優しくて、人見知り、そして、、、「最初は認めたくなかったんですよ。でも、突き詰めていくと、気になる事は色々調べたり実践したりするの好きやんってことに気が付いて、『あ、俺もオタクやん』ってなりましたね。笑」そう、ちょっぴりオタクな人だ。ハマると熱中するタイプらしい。ハマっているバス釣りは小学校からだから筋金入りだ。「小学校の時に親父に教えてもらってからずっと続けてますね。釣りに行かない日もyoutubeでバス釣りの動画見てます。奥が深いんですよ。今と昔では道具も変わってきてるし、使う言葉も変わってきてる。分からない事があると調べずにはいられなくて、色々と調べるうちに楽しくなってきて実際に行きたくなるんですよね」バス釣りの奥深さについて、専門用語を交えながら夢中で説明をしてくれたが、ほとんど分からず、楽しそうに話すなぁと、話の内容そっちのけで考えていた事は、恐らく気づかれてはいないはず。

お父さんとの特訓

バス釣りともう1つ、最近ハマっているものは子どもと遊ぶ時間だ。「ちょっと前までパチンコばっかりしてたんですが、最近は子どもと遊ぶのが楽しくなってきましたね。バーベキューしたり一緒に公園行ったり、色んなことして遊んでますよ。今は自転車の補助輪を外す特訓中ですね」バス釣り以外はほとんど興味が無かった頑固なオタクであっても、可愛い愛娘たちにはハマった。きっと補助輪を外す特訓中も、子どもの事を良く見て、挑戦させる所と教える所を上手く調節しているのだろう。子どもたちはお父さんとの特訓が好きに違いない。

ルアーを動かすように

最後に少し小難しい質問をしてみた。小学校から続けているバス釣りと今のお仕事、共通する事ってありますか。「バス釣りって季節とか天候とか時間とか、色んなことを考えて釣る場所とかルアーの動かし方とか変えるんですよ。魚が何を求めているのかを考えて全部やるんですね。それって飲食でも同じなんです。お客さんが望んでいるものを考えて、メニューや値段を考える。僕あんまり自分の食べるものとかってこだわりないんですけど、お客様に出すもんに関しては結構考えますよ。どこまで喜んでいただけるかなぁって」即答だった。

人との心地よい接し方は人それぞれだろう。パーティさながらにワーッと盛り上がるのが好きな人もいれば、じーっと人と向き合い理解を深めるのが好きな人もいる。バーカウンター越しにお客さんと話すのが好きだという上原さんは後者だ。お客さんや一緒に働く人とゆっくり歩みを進めたい。笑顔で話す店長を見て思った。自覚してないだけ。この人は店長にもハマっている。

(2017/5/10秋吉直樹)

ヒトコト

代表取締役の熊野さんからのヒトコト

障がい者

採用した実績はないんですが、昔そうちゃうんかなぁっていう人はいました。その方はすごく忘れ物が多くて。でもそれを周りが理解して、サポートしたら全然問題なかったんです。飲食店なので、歩けなくて車イスっていうと少し厳しいかもしれませんが、軽度であれば、周りでサポートできるし、全く問題ないですね。


LGBT

うちは飲食店ですから、LGBTのお客さんが来ることはもちろんあります。前に、定期的に通ってくれる方もいましたよ。最初はね、とっつきにくいってことがあるかもしれないですけど、一緒に仕事をするうえでは、そんなに問題ないですよね。


外国人

外国の方は逆に欲しいですよ。インバウンドで外国のお客様多いですし、スペインバルは最低1組以上は外国人のお客様がいらっしゃいます。むしろ優先的に外国の方を採用したりしてます。


65歳以上

フルタイムが難しいのであれば、仕込みとか梱包とか、短時間作業をお任せすることも全然で来ますよ。でも、65歳っていったらまだまだ若いですから、「俺はフルタイムでやれるよ!」っていう元気な方であれば、フルタイムでも全然いいですよ!笑


子育て後の復職者

昔、小学校低学年の子どもがいるお母さんが、朝出勤して3時間ほど帰って、また出勤するといったスタイルで働いてもらっていたことがあります。1日の勤務時間や福利厚生など、相談してくだされば、いろんな出勤のスタイルを考えることができます


ブランクからの復職者

全然問題ないですね。仕事にやる気があれば全く問題ないです。

ヒトコトとは?

株式会社ナヤズダイニング


所在地

香川県高松市丸亀町9-7


募集職種

店舗管理、店長候補、ウェブ販売企画


雇用形態

正社員


給与

大卒205,000円、専各卒195,000円、高卒180,000


福利厚生

健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険、退職金制度


仕事内容 

一般飲食店での業務兼、インターネット販売


勤務地

香川県高松市


勤務時間

15時~15時間ローテーション


休日休暇

店休日+2日(月8日)


求める人

食べ物や飲食が好きで、食文化で香川を元気にしたい人


募集期間

随時


採用予定人数

2名


選考プロセス

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