コラム

「若手に仕事を任せてくれる会社で働きたい」
大阪大学 黒川慎一朗さん 香川大学 佐々木理那さん

8月14日に西日本放送ラジオ「人で見つけよう香川の仕事」の第8回が放送されました。このコーナーは香川ですてきに働く「人」をゲストにお呼びして、お仕事内容やきっかけ、やりがいなどを伺っています。実際に働く人のお話を紹介することで、香川での働き方の多様性を感じていただくと同時に、「この人と一緒に働きたい」や「この人のように働きたい」と感じるきっかけになれば嬉しいです。

今回は企業で働く人ではなく、これから働く大学生、黒川慎一朗さん(大阪大学)と佐々木理那さん(香川大学)をお呼びしてこれから就職を控える学生たちは今どんなことを考えているのかを伺いました。学生たちの言葉には、企業の働き方改革やこれからの採用戦略にとって重要なヒントがたくさん散りばめられています。

熊谷 今日はいつもと違って学生さんにお越しいただきました。黒川さん、佐々木さんよろしくお願いいたします。

黒川佐々木 よろしくお願いいたします。

熊谷 黒川さんは大阪大学で、佐々木さんは香川大学。大学は違いますが、お二人とも香川県出身なんですよね。

黒川 はい、さぬき市の津田町で育ちました。

佐々木 私もさぬき市の長尾出身です。

熊谷 2人ともさぬき市出身なんですね。秋吉さん、今回はどうして学生さんをゲストにお招きしたんでしょうか。

秋吉 いつもは企業の方をお呼びして働いている人の本音を聞いてますが、今回はこれから働こうとする学生にお話を聞いてみたいと思ったんです。世の中は売り手市場ですし、働き方もどんどん多様化しています。そんな中で当事者でもある学生は今どんなことを感じているのか聞けたら嬉しいなと考えてます。

亀谷 これから日本を背負って立つ若い世代の話、確かに聞いてみたいですね。

熊谷 そうですね。楽しみです。黒川さんは大学でどんなことを勉強されているんですか。

黒川 工学部で建築を学んでいます。授業とは別に「Reibre」(リブレ)という学生団体を立ち上げていて、地域活性をテーマにした町歩きイベントや地方の中小企業さんと連携したインターンシップの運営に取り組んでいます。

亀谷 素晴らしいですね。でも建築と地域活性というのはまた違った領域のように感じますが、どうして地域活性に興味があるんですか。

黒川 建築は家を建てるだけのイメージが強いかなと思うんですが、もう少し広い視野で「まちづくり」っていう観点で捉えると地域活性と建築って密に関係しているんです。

亀谷 なるほど。単体の構造物だけではなくて、街全体で捉えると建築の中にまちづくりが含まれるんですね。それでも地域活性というと、地方の大学の学生さんは意識が高いと思うんですが、東京や大阪の学生がそこに興味があるというのは珍しいですよね。

黒川 「どうやって大阪で地域活性するの?」とよく言われるんですが、私としては大阪にいるからこそ地域に貢献できることがあるんじゃないかなと思っています。外にいるからこそできる地域との関わり方を通じて地域貢献したいですね。

熊谷 素敵な考え方ですね。先日香川県で何かイベントをされたと聞きましたが、どんなことをされたんですか。

黒川 佐々木さんと2人で「はちあわせ工房」というユニットを組んで、8月11日に香川県出身学生と地元企業が一緒に海岸清掃するというイベントを開催しました。自分もそうなんですが、地元企業を知らない学生が多いなぁと感じていて、だったら企業を知るためのイベントをやろうということで実施しました。地元企業3社と12名の学生にご参加いただきました。


イベントの様子。海岸清掃後にビアガーデンで食事会を行いお互いの理解を深める工夫も。

亀谷 学生と企業がはちあわせるから、「はちあわせ工房」なんですね。

熊谷 分かりやすくていいですね(笑)

佐々木 関西の学生を集客するのは黒川くんにお願いして、地元の学生や地元企業への協力依頼は私がやるように分担することで、スムーズに開催することができたと思います。秋吉さんにもご協力いただきました。

秋吉 学生には企業のことを知りたいというニーズありますし、企業にも学生に会いたいというニーズがあります。お互いのニーズが合致していたので、ぜひ協力して取り組みたいと感じました。

熊谷 地元企業を知るっていうことはとても大切ですね。佐々木さんは今も香川にいらっしゃいますが、地元の良さってどんなところだと思いますか。

佐々木 やっぱり人の暖かさだと思いますね。実は大学に入るまでそう感じることはほとんどなかったんですが、大学に入ってから気づくことができたと思ってます。香川大学は地域に入って活動させていただける機会が多くて、そういう機会を通じて地域の方と話したんですが、そこで香川の人の暖かさを感じることができました。昨日は地域の方からキュウリもらいましたし(笑)。昔は一度は県外に出たいという気持ちもありましたが、こうした人の暖かさに気づくことができた今では、香川大学を選んでよかったなぁと感じてます。

熊谷 地元の魅力に気が付いたんですね。大学ではどんな勉強をされているんですか。

佐々木 経済学部で地域活性化について勉強してます。授業の一環で地域に中に入っていくこともありますし、それがきっかけでプライベートの時間を使って地域に入っていくようにもなりました。

亀谷 大学で地域を学んでいる学生としては、今後地域に必要なことはどんなことだと思いますか。

佐々木 私は人と人との関わりあいを大事にしたいなと思っています。その地域に住んでいる人とそうでない人という区別ではなく、香川に関わりを持ってくれる関係人口を増やしていくことが大切なんだろうなぁと思ってます。

亀谷 関係人口。初めて聞きますが、確かに香川に住んでいなくても関わりを持ってくれる人の存在が今後は大切になりそうですね。

熊谷 2人はまだ2年生で就職は少し先ですが、どんな企業に入りたいとか希望はありますか。企業選びのポイントはどんなことなんでしょうか。

黒川 自分の場合は入社して間もない段階から決定権をちゃんと持たせてくれる企業に魅力を感じます。今までは若手は上司に言われたことをやるっていうのが当たり前だったと思うんですが、今後は若手でも個人がもっと力を出せるようになるべきだなと思っています。やらされて仕事するよりも自分で良いなと思ったことをやらせてくれる企業がいいですね。

熊谷 とっても頼もしいですね。黒川さんの場合、自分で何か事業をしそうだけれど、そうした目標はあるんですか。

黒川 将来的には二拠点居住をしたいと思っているんです。1ヶ月のうち半分は香川で、残りの半分は大阪で暮らすというような暮らし方をしたいなと思っています。

亀谷 二拠点居住?…ですか。

秋吉 フリーランスや個人で仕事している人に増えているライフスタイルですね。最近では様々なメディアで二拠点居住している方が紹介されており、今後もそうした考え方の人が増えてくるんだと思います。

亀谷 二拠点居住も初めて聞きますが、そうした働き方も出てきているんですね。

秋吉 絶対的な人口が減っていますし、こうした考え方の人も増えてきます。企業は今までと同じような雇用スタイルに固執するのではなく、プロジェクト単位でフリーランスの方達と上手に連携するのが大切になってくると言われてますよね。

熊谷 企業も働く人に合わせて変わっていかないといけないですね。佐々木さんはいかがですか。

佐々木 私もそうした自分に判断を任せてもらえる会社が良いと思います。自分から提案できたり挑戦したりすることができるとやりがいに繋がると思ってます。一方で、そうした柔軟な会社は都心の方が多いイメージがあって、香川の良さを感じつつも出た方が良いのかなぁと思ってますね。

亀谷 働き方の自由度は都会の方が高そうですが、これまでこのコーナーに出てくださったゲストの皆さんは決定権を持ちながら楽しそうに仕事している方が多かった印象がありますね。

秋吉 仕事に直結する部分で若い人に意思決定を任せるのが難しい場合でも、社員旅行やレクレーションなどを検討する時に部署横断のプロジェクトチームを作って、若手が発言できるように工夫している会社も香川にありますよね。

亀谷 いずれにしてもしっかりとした意志を持っているお二人なら、きっと多くの会社が一緒に働きたいと感じると思いますねぇ。

熊谷 地元への愛も感じてとても嬉しいです。さて最後に皆さんから一言ずついただいておしまいにしたいと思います。

黒川 今は大阪にいるんですけど、県外にいるからこそできる香川との関わり方を続けていきたいと思います。その中で、香川にいる人にご協力をいただかないと出来ないことも多いと思うので、連携しながら色々と出来たらと思ってます。

佐々木 香川が大好きなので、これからも香川のみなさんと関わっていきたいです。

秋吉 このお二人のように、今は若い人の方が情報量も多いし優秀なことが多いです。お二人と関わっていると、私も知らないカタカナワードが飛び交いますから(笑)。今後、こうした若い人を採用したいと考えている企業は、もっともっと学生側に歩み寄る工夫が必要なのだと思います。我々としてもそうした出会いの場を作っていけるように取り組んでいきたいと思います。

亀谷 皆さんありがとうございました。それにしても「はちあわせ工房」っていうネーミングは、器を作っているような団体のイメージがありますね。

秋吉 あの、その名前は私が学生たちに発案したものなので、若い発想では決してないので勘弁してあげてください。今後は学生たちがもっといい名前を付けてくれると思います(笑)。

亀谷 あ、そうでしたか。それは失礼しました(笑)。改めて、皆さんありがとうございました。

一同 ありがとうございました。