コラム

ヒトデ就活「東京か香川か。就活を通して気づいた自分が本当にやりたいこと」
セーラー広告 川染彗さん

ヒトデ就活

人の数だけ「自分らしい働き方」があるように、人の数だけ「自分らしい仕事の見つけ方」がある。ヒトデ就活は若手社会人への会社訪問インタビューを通じて、人それぞれの就活スタイルや会社選びの軸についてお伝えする企画です。聞き手はこれから就活を控える大学生、語り手は就活を終えたばかりの若手社員。当事者同士の赤裸々な会話から見えてくるのは、「あなたらしい仕事の見つけ方」かもしれません。

 

聞き手 香川大学経済学部3年生 杉山 愛美(すぎやま めぐみ)さん、多田 安里(ただ あさと)さん

香川出身。就活に不安を抱えつつも、地元就職をぼんや〜り考えるなかよしコンビ!

語り手 セーラー広告株式会社 川染 彗(かわぞめ けい)さん

香川県出身の社会人2年目。小学校から高校まで陸上に明け暮れ、大学進学を機に愛媛へ。就活時はエリアを東京と香川で悩むも、自分なりの軸を見つけて地元へのUターンを決意。セーラー広告では営業部(AE)として、行政タイアップの広告企画営業を多く担当している。

 

総合広告会社という仕事とは/不安な気持ちを大切に臨んだ就活/東京?香川?自分はどこで何をしたいのか?を突き詰める/ギャップを少なくするための業界研究とは/自分が好きなものを知るためにできること/聞き手の感想


左から多田さん、杉山さん、川染さん

総合広告会社という仕事とは

杉山多田 川染さん、本日はよろしくお願いいたします。

川染 よろしくお願いいたします。

杉山 まずはお仕事について伺いたいですが、セーラー広告さんってどんな仕事しているんですか。

川染 いわゆる広告会社です。クライアントの依頼に合わせて、キャンペーンイベントを実施したり、効果的な広告戦略を練ったりする仕事をしています。例えば、香川県観光協会さんのコンペ案件を受注して制作した「うどん県パスポートhttps://www.my-kagawa.jp/passport/feature/passport/top)」といった紙媒体や、瀬戸大橋開通30周年記念イベントの運営、高松市の防災情報スペースのプロデュースなど、多岐に渡ります。一言で言うと、クライアントのニーズを聞き取って、それを一番効果的な方法でカタチにしていく仕事です。私のクライアントは行政関係が多く、企画から関わらせていただくことが多いですね。

川染さんが担当された「瀬戸大橋30周年感謝祭」のチラシ

杉山 いろんな企画をされてるんですね。広告会社さんって、CMを作ってるイメージがあったので、それ以外にも企画していると聞いてびっくりです。

川染 そうですね。当社のような総合広告会社では色んなことにチャレンジしています。お客様から「なんとかできる?」って聞かれたら、まず「できます」と答える。そこからどういった形にするか議論していくんです。不可能とは言わず、色んな手段を使って実現させていくので、結果的に様々な企画に携われることになります。

杉山 ふぇ~。イメージが変わりました。

川染 時にはクライアントが想定していなかった提案をすることもありますよ。例えば、新しい施設のスペースを整備するコンペ案件では、誰のためのどんな場所なのかを考えて、どうやったらそれをお客さんに理解していただけるかを追求していった結果、当初は想定していなかったVR動画の制作という提案になったこともありました。

こうした企画をチームで作り上げていくというのも特徴の1つです。プランナーだけじゃなくて、営業やデザイナーが1つのチームになって一緒に形にしていくのが、面白いところですね。社内には基本的に営業とプランナー、デザイナーがいて、他にもイラストレーターやカメラマンが必要な時は外部の方と連携することもあります。


セーラー広告HP参照)

 

不安な気持ちを大切に臨んだ就活

多田 学生時代は就職に向けてどんな準備をしていましたか?

川染 学生時代は陸上部と家庭教師のアルバイトをやっていたんですが、3年生の時に客観的な自分の強みが少ないことに気づいたんです。陸上も一生懸命やっていたんですが、自分の中で納得のいく結果を残せていた訳ではなかったので焦っていました。その時、昔から文章を書くことが好きだったので朝日新聞の書評欄に応募してみたんです。そしたら採用されて掲載されて。そのことをきっかけに、他にもいくつかの書評賞にエントリーして、そこでもまた賞をいただくことができたんです。こうした積み重ねをすることで、自分の強みをきちんと認めてもらえると考えてました。

杉山 自分から客観的な評価をもらえる実績づくりをされてたんですね。実際の就職活動はどのようにされてたのですか。

川染 最初はエリアを選ぶのに結構悩みましたね。地元の香川か、それとも大学のある愛媛か、はたまた東京大阪か。親からも「好きな所に行きなさい」と言われていたので、どこでも選べる状況でした。悩んでばかりもいられなかったので、まず愛媛県内の新聞社でインターンさせてもらったんです。プレゼンや企画を出すのが得意だったこともあってかなり評価していただいて、3年生の年末には「ぜひうちにエントリーしてくれ」とも言われるようになってました。そこから少し心の余裕も出てきました。「全部ダメでもここは受け入れてくれる」と思えたんです。

多田 まずインターンにチャレンジして、その企業からお誘いを受けるほど努力されたんですね。そうなると不安は少なくなりますね。

川染 はい。かなりそこで不安は減りました。でも僕は不安な気持ちって、就活するうえで一番大事な気持ちだと思っているんです。僕の場合、不安だったから行動できていた感じなんです。不安を感じずに、どうにでもなるとかまだ大丈夫と思っていたら動けない。あえて、自分は本当に社会に必要とされているのかってことを掘り下げて考えてました。そうするとかなり不安な気持ちになってくる。その時に行動できるかできないかが就活の分かれ目のような気がしていたので、不安な気持ちは結構大切にしてましたね。

杉山 不安な気持ちが自分を突き動かしてくれるっていうのは、分かる気がします。

東京?香川?自分はどこで何をしたいのか?を突き詰める

川染 そうした気持ちをモチベーションにして、マスメディア系を中心にエントリーしていき、ありがたいことに5社からお声がけをいただくことができました。愛媛1社と香川で2社、東京で2社です。全部入りたい会社だったので、めちゃくちゃ悩みました。

杉山 最後の一社を決める時はどうされたんですか。

川染 実は東京の会社にすごく惹かれていて、内定者の集まりなどにも出席していたんですが、東京から香川に帰る飛行機の中で自分は何がしたいんだろうと、改めて考えたんです。そしたら、やっぱり地方に関わる仕事がしたいと思えたんですよね。もちろん東京の会社でも地方のブランディングを手がけている会社もあったので関われないこともなかったのですが、東京に住んでいて地方に住んでいる人の気持ちが分かるのかなって、ふと疑問に思ったんです。地方の課題やニーズってやっぱり住んでいる人が一番よく感じているはずで、そのために仕事するには自分もそこに住む必要があると思いました。そこからは、地元に残ってまずは身近な人に喜んでもらえるような広告を作りたいと思うようになってました。これが俺の広告やでって言えるものを地元発で作りたいと思って、今の会社に入ることに決めたんです。

多田 自分のやりたいことから会社を選ばれたんですね。それでも都会にするか、地元にするかで迷いはなかったですか。

川染 ありましたありました。ずっと地方に住んでいたので、一度は東京に住んで数年したら戻ってくるというのも良いなぁと思っていたんですが、最終的にはやはりこっちでしっかりと根をおろしてやりたいと思えるようになってましたね。

多田 そうなんですね。実はわたしも地元で就職したいなと思ってるので参考になります。

川染 地元、好きですか?

多田 はい!めちゃくちゃ好きです!絶対出たくない(笑)

川染 いいですね(笑)。地元が好きって言える人って、小学校や中学校に楽しい思い出がある人だと思っているんです。そうした人は地元に良いイメージがあって、将来帰って来たいと思える。

杉山 分かります!

川染 実は今後、香川出身の方が地元に戻ってくるUターン事業に力を入れたいと思っているんです。そのためには小学校、中学校時代の良い思い出作りや郷土教育が大事だと思っています。地元の魅力を記憶に刻んでもらって、最終的には地元で就職してもらえるような、そんな取り組みをしてみたいですね。

多田 とても大切な取り組みですね。でもセーラー広告さんって、若手でもそうした提案ができるんですか。

川染 できます。やろうと思えばなんでもできます(笑)。企業からやってくれと言われてやる場合もありますし、僕らから企業や行政に、こんなことやりましょうと提案することもできます。何にでもチャレンジできる良い社風だなぁと、1年間働いてみて感じてますね。

ギャップを少なくするための業界研究とは

杉山 入社して分かることも多いですよね。他には入社前後でギャップを感じる部分はありますか。

川染 ギャップ、あんまり無いんですよ。就活の時に業界研究をめちゃくちゃしていたのが良かったのだと思います。どんな業界かを知ることと、自分がどんな軸で会社を決めるかを理解することは大切だと思います。給料や休日、仕事内容など、人によって価値観が違いますからね。僕の場合は自分のやりたいことができるかどうかというのが軸でした。自分の興味の無い仕事を夜遅くまで続けるイメージが出来なかったんです。だから業界研究に熱心に取り組んで、その結果ギャップが少ない社会人生活を送れてます。

杉山 業界研究している内にますますマスメディア系への志望が強くなったんですね。

川染 そうですね。やはり文章が好きだったので、その辺りに絞って研究してました。実は小学生の頃からコピーライターに憧れてたんです。硬筆習っていたおかげで文字を書くのが好きになって、文章を書く仕事に憧れを持つようになってました。そこから色んなコピーに興味を持つようになって、「お金で買えない価値がある。買えるものはマスターカードで」ってコピーに感動したりしてました。そこから多くのコピーライターを輩出している広告会社にも興味が沸くようになってましたね。自分の興味に沿って就活を進めていった感じです。

多田 すごい…。私も文章が好きなので、川染さんみたいになりたい(笑)

自分が好きなものを知るためにできること

杉山 面接とかで大切にしてたこととかあるんですか。

川染 そうですね…面接でよく寄生虫の話してました(笑)。

杉山多田 え!?寄生虫ですか。

川染 そうなんです。寄生虫の生態が好きで目黒にある寄生虫博物館とかに観に行ったりするくらいなんですが、その話をしたりしてました(笑)。広告業界だと、自分の好きなものをPRしてくださいっていう質問とかがあるんですが、そんな時に地方から出てきた学生がいきなり寄生虫の話をし始めたら、「こいつやばい奴」って思われるじゃないですか。もちろんきちんと論理的に説明するんですが…。そんなことしていると「あ、寄生虫の子だね」って覚えてもらえると思うんです。そんなことも面接テクニックの1つとして使ってましたね(笑)。

杉山 すごいテクニック…。確かにまずは覚えてもらわないとですね。

多田 川染さんはご自身の好きな事や得意な事を自分でご理解されていますよね。自己分析とかってどうされたんですか。

川染 自分を突き詰めていく作業を結構してましたね。なんで陸上始めたのか、なんで文章が好きなのかとか、なんでやなんでやって理由を自分に問いかけてました。自己分析って1人で突き詰めるとかなりしんどくなるので、友達とか親とかと一緒にやるのがオススメですね。私ってどんな人って聞いてみたり、15分間でお互いを褒め合おうとかやってました。他の人から見える自分が本当の自分に近いと思うので、他の人の意見っていうのは大事にしてましたね。

杉山 自分の事を客観視するのは難しいですもんね。最後に就活生にアドバイスはありますか。

川染 やっぱりたくさんの会社を見てみることが大切だと思います。1つの事しか知らない人のオススメよりも、たくさんの事を知っている人のオススメの方が信憑性があるように、たくさんの会社を実際に見て、そこから自分が一番良いと思ったものを選んだ方がいいですよね。その方が志望動機も明確になるし、ギャップも少なくなる。そういう意味ではやっぱり会社説明会とかは大切ですよね。色んな会社の空気感が分かるし、自分のことも分かってもらえる場でもあるので。これから就活を控える学生には、会社や社会人との接点をたくさんつくって、自分がこの会社で将来どんな仕事をしているのかという具体的なイメージを持って、そこから自分の選択をしていってもらいたいですね。みなさん頑張ってください。

多田・杉山 はい、頑張ります。本日はありがとうございました。

川染 こちらこそ、ありがとうございました。

聞き手の感想

セーラー広告さんはとにかくオフィスがオシャレで、あ〜こんな所で働きた〜い!と思える場所。やりたい事ができるスタイルと広告会社の自由さが重り、自分自身の成長が実感できる環境だと思った。就活は自分を知ることが大切!(多田安里)

 

「セーラー広告」という総合広告会社の印象が変わった。私にとってはどこか遠くに感じていた業種だけど、セーラー広告さんは香川の広告会社。当たり前だけど香川の暮らしに根ざしてた。ゾメさんが言ってたように、不安を力にボチボチ準備していきたいな。(杉山 愛美)


記事制作も聞き手のお二人が中心。就活生に届けたい内容を必死に編集中してくれました。