コラム
「充実した人生を送れたと思えるような仕事を」
富士建設 森繁さん 松坂伸基さん
9月11日に西日本放送ラジオ「人で見つけよう香川の仕事」の第9回が放送されました。このコーナーは香川ですてきに働く「人」をゲストにお呼びして、お仕事内容やきっかけ、やりがいなどを伺っています。実際に働く人のお話を紹介することで、香川での働き方の多様性を感じていただくと同時に、「この人と一緒に働きたい」や「この人のように働きたい」と感じるきっかけになれば嬉しいです。
今回は富士建設株式会社の営業部長の森繁(もりしげる)さんと 工務部長の松坂伸基(まつさかのぶき) さんにご出演いただきました。住宅から店舗、公共施設など様々な建物を手がける総合建設会社で働くお二人に、建設業のやりがいや大変さについて伺いました。その道30年以上のキャリアを持つお二人の言葉には、仕事を通じて人生を豊かにするために大切なことがたくさん詰まっています。
出演する直前の森さん(左)と松坂さん(右)。若干緊張気味でしたが、本番ではとても生き生きとお話しくださいました。
亀谷 いつもこのコーナーでは比較的若手のスタッフの方にご出演いただくことが多いんですが、今回は失礼ながらかなりベテランの方にご出演いただいてます。いつもと若干雰囲気が違いますね(笑)
熊谷 ぜひお二人にはリラックスして臨んでいただければと思います。まず松坂さんに伺いますが、工務部長とはどんなお仕事をされているんですか。
松坂 主に建設現場の管理をさせていただいてます。現場で協力業者さんと打ち合わせをしたり、契約関係に携わったりしてます。
熊谷 建設現場の統括とは、すごく責任あるお仕事ですね。富士建設さんは色んな建物を手がけてられるんですよね。
森 はい。住宅から店舗や公共施設、病院なども作らせて頂いてます。
熊谷 五重塔も建てられてますよね。私一度取材で御社の社長と一緒に中津万象園を回らせて頂いたことがあって、その時に社長に高知の竹林寺の五重塔もご紹介いただいたんです。とっても素敵でした。
森 ありがとうございます。五重塔はこれまで二基ほど携わらせて頂いてます。
亀谷 かなり幅広く手がけてますね。やはりそれぞれにスペシャリストの職人がいらっしゃるんですか。
森 スペシャリストもいますが、全てが出来ていないといけない部分もあります。もちろん人によって、得意不得意がありますが、基本的にはオールマイティにこなせる力が大切です。
松坂 性格によっても得意分野が変わってくるんですよ。例えば、住宅であればお客様と直接やり取りして要望に応えていく力が必要ですが、公共施設の場合は図面通りにきっちりと作ることが大切になってきます。
亀谷 個人のお客様の場合は、相手の意図を汲み取ってあげる力が必要ですから、コミュニケーション力が問われそうですね。
熊谷 森さんは最近営業職に変わったと伺いました。
森 はい。元々は松坂同様に工務を担当してました。うちの営業は全て現場を経験した者が担当しているんです。現場上がりの営業しかおりません。
亀谷 なるほど。やはりお客様との信頼が大切ですから、現場を知っていないときちんとした営業は出来ないということなんでしょうね。
松坂 高い買い物ですし、お客様の資産になるものを作る仕事ですので、お客様との信頼関係はとても大切ですね。
熊谷 お二人はどうして建設業を選ばれたんですか。
森 私の場合は小さい頃、よく家に来ていた大工さんに可愛がってもらった思い出があって、その当時から憧れる気持ちがありましたね。そして高校生の時に学校の先生から富士建設について教えて頂いて入社を決めました。当時うちに来てくれていた大工さんがすごく大きく見えて、ずっと尊敬の念を持っていたんです。その方は今も現役で大工をされていると聞いてます。
亀谷 やっぱり技術で食べている男性ってたくましく見えますよね。
松坂 私も一緒ですね。昔は木造住宅が多かったので、周りに大工さんがいる環境だったんです。近所にいる大工さんの仕事姿に憧れてこの業界で働きたいと思いました。そこからご縁があって今の会社に入ったんです。
亀谷 その頃はたくさんの子どもたちが大工さんに憧れていたんでしょうね。大工さんの働き方というのは時代と共に変わってきたんでしょうか。
森 時代と共に変わりました。職人さんも今はサラリーマンのような働き方になってきた印象がありますね。それから今現場の大工さんの中にはタブレット持って仕事する人もいらっしゃいます。「図面送るから加工しとってね」とか、そういうやり取りも多くなりました。
熊谷 職人さんたちの働き方もどんどん変わっていってますね。
亀谷 そうした中お二人は長い間ご活躍されてきた訳ですが、仕事をする上で大切にしていることはどんなことでしょうか。
森 なかなか一言では難しいんですが、充実した人生を送れたなと思えるように仕事に取り組みたいと思ってますね。やっぱり人生において仕事している時間は長いですから、その時間も充実させるために一生懸命に取り組むことが大切だと思います。仕事が充実するとプライベートも充実して人生が充実するような気がします。あとは信用、信頼を大切にすることですね。まずは人を信用しないと人から信用されない。信用がないと信頼もありません。お互いの信頼があって仕事が充実するのだと思います。
松坂 私はお客様が喜んでいただける建物を建てるということが一番大切だと思ってますね。打ち合わせの段階からお客様の気持ちを汲み取って、それを現場の職人さんや協力してくださる方に丁寧に伝える。そこから建物が建っていきます。お客様が何を求めているのかをしっかりと理解して、喜んでもらえるものづくりをしたいですね。
熊谷 自分の作ったものが時間を越えて残っていくというのも素敵ですよね。
松坂 そうですね。やっぱり自分の作った建物には思い出があって、近くを通る時は気になって見ますね。
秋吉 実は大学生にご出演いただいた前回の放送記事を見た富士建設の社長からご連絡いただいて、今回お二人にご出演いただくことになったんです。というのも、前回大学生に「これからどんな会社で働きたいですか」という質問をした時、彼らは「若いうちから権限を与えてくれる会社が魅力的です」と話していたんですが、それを見た社長から「そういう仕事だけが仕事じゃない。例えば現場監督業は、大きな予算とたくさんの職人さんに指示を出すというプレッシャーを抱えながらものづくりをしている。安全な現場だけではない中で、調和や経験を尊重することが大切な仕事の尊さも伝えてほしい」とご連絡いただいたんです。その通りだなぁと感じて今回お二人にご出演いただくことになりました。
亀谷 若い人はもっと面白いことをやりたいとか大きなことに挑戦したという気持ちがありますが、実際に働いてみると色んな制約があって、その中で一生懸命に取り組む必要があったりしますもんね。若い人の気持ちとベテランの経験のバランスが大切なんでしょうね。
森 そうですね。一方で、やはり若い人の元気は本当に大切だと思います。若い人が元気にやってくれるだけで現場は明るくなって士気が上がります。大変なことも多いですが、やりがいも多い仕事ですので、ぜひ若い人にもこの業界にチャレンジして欲しいなぁと思いますね。
熊谷 たくさんの人が建設業界に挑戦して欲しいですね。森さん、松坂さん、本日はありがとうございました。
一同 ありがとうございました。