コラム

RNCラジオ 「人で見つけよう香川の仕事」
ホテルセカンドステージ 喜多維昭さん

2月13日西日本放送ラジオ第2回「人で見つけよう香川の仕事」が放送されました。このコーナーは、香川ですてきに働く「人」をゲストにお呼びして、お仕事内容やきっかけ、やりがいなどを伺っています。実際に働く人のお話を紹介することで、香川での働き方の多様性を感じていただくと同時に、「この人と一緒に働きたい」や「この人のように働きたい」と感じるきっかけになれば嬉しいです。

「人で見つけよう香川の仕事」

日時:毎月第二火曜日 13:15〜(生放送)

パーソナリティ:藤田崇寛(RNCアナウンサー)、熊谷富由美

レギュラーゲスト:人で見つける私の仕事 ヒトデ 代表 秋吉直樹

第2回のゲストは、ホテルセカンドステージを運営する株式会社しおのえ代表の喜多さん。地域に根ざした体験型ホテルの運営とは?スタッフの自主性を活かした「マニュアルのないおもてなし」を大切にするとは?などなど、詳しく伺いました。

一同 喜多さん、本日はよろしくお願いいたします。

喜多 よろしくお願いいたします。

熊谷 下の名前は何とお読みしたらいいんでしょうか。

喜多 維昭(これあき)と読みます。

一同 へぇ。これはなかなか読めないですね(笑)

喜多 私が生まれたのは昭和20年ですが、両親が「明治維新」を文字って、「これからは昭和維新や」ってことで、この名前をつけてくれたんです。昔から先生には下の名前を呼んでもらえなかったですね(笑)

藤田 確かにこの字は難しいですね…。ホテルセカンドステージは塩江のどのあたりにあるんでしょうか。

喜多 国道193号線の沿いに、道の駅「しおのえ」というものがございますけれども、そこから内場ダムに向かって約1キロほどいったところにございます。7階建てで、約50部屋ほどご用意させていただいてます。

熊谷 セカンドステージは宿泊しながら色んなことが体験できるのが特徴ですよね。

喜多 はい。そうです。元々は破綻していたホテルの運営を、前町長時代から任されたことがきっかけでした。仲間と一緒に、どう使うかを考えていた時に「塩江の豊かな自然と素朴な人情を活かして事業しよう」ということになったんです。そのために、滞在して色んなことを体験していただこうと考えました。滞在していただくということは、外から来るお客様の考え方とか行動を、私たちも勉強できます。そうしたことを活かして、塩江という地域の魅力をもっともっと良くしていこうと考えたんですね。それが10年前です。

藤田 10年前なんですね。その前はどんなことをされていたんですか。

喜多 元々は脱サラして医薬品に関係する仕事をやっていました。今もそれは本業として行っております。

熊谷 そうなんですね。セカンドステージでは、どんな体験ができるんですか。

喜多 全て数えると、20種類以上の体験ができます。その中で人気のあるものでいうと、アマゴのつかみ取りとか、40メートルの流しそうめんとか、猪の丸焼きといったものですね。季節に合わせた体験メニューをご用意しております。

熊谷 そうした体験のインストラクターを地域の方がやっていると伺いましたが、そうなんですか。

喜多 はい。多くの体験で、地域に住んでいるお年寄りにインストラクターをお願いしています。田舎のおじいちゃんおばあちゃん達に、県外から来た若い人にしめ縄作りを教えていただいたり、昔からの工夫や地域の知恵をお借りして体験を作るということを意識してます。私も塩江出身ですし、スタッフも塩江に住んでいる人が多い。ですから「〇〇さんのためだったら手伝うよ」と地域の方から言っていただけているのも嬉しいですね。

熊谷 どんなお客さんが多いんでしょうか。

喜多 ご家族連れが多いですね。保育園や幼稚園の児童にも、校外学習としてご利用していただいてます。児童に一番人気なのは、アマゴのつかみ取り体験ですね。日頃、魚は量販店で切り身になっているものをお料理するので、生きている魚を捕まえて食べるという体験はなかなかできない。だからみんな大はしゃぎですね。そのうち大人の方が子どもそっちのけではしゃいでますから(笑)あと、こうした体験の時に必ず私たちが伝えているのは、命の尊さです。生きているアマゴを捕まえて食べるということは、殺すということなんです。子どもたちには「私たちも地球の中では、アマゴと同じ生き物やで。同じ生き物でありながら、アマゴは食べられる側で、僕たちは食べる側。僕たちは犠牲になった生物の命をいただきながら生きてるんですよ」って伝えるようにしてるんです。

熊谷 すてきな取り組みですねぇ。県外から来る方もいらっしゃると思いますが、そうした方達はどんな反応ですか。

喜多 都会の方はカルチャーショックを受けることが多いですよね。僕らからしてみると、知らなすぎるなぁとも思うんですが(笑)夏はカブトムシ採集体験もやるのですが、お子様の中には、「カブトムシは量販店の屋上で売ってるものでしょ。なんでこんな山の中にいるんですか」と言う方もいます。そうした子どもにこそ、体験してもらいたいですね。

藤田 一度、自分で体験したら忘れないですからね。子どもたちにとっては、良い教育の機会ですね。

喜多 僕たちは、塩江の自然やそれを活かした体験を観光資源だと考えているんです。名所旧跡も素晴らしいし、料理が美味しいのもすてきです。ただ、観光資源の引き出しの一つとして、豊かな自然と自然の中での体験というのも素晴らしいと思うんです。それともう一つ。塩江で暮らすおじいちゃんおばあちゃんも観光資源だと考えているんです。

一同 おじいちゃん、おばあちゃんもですか!?

喜多 はい。どういうことかというと、お年寄りと都会から来た若い人たちとのコミュニケーションの機会を作るのも、私たちインストラクターの仕事だと思ってるんです。例えば、大根農家さんのところへお客様と行くとするじゃないですか。お客様に「これがおじいちゃんが作った大根です。スーパー行ったら綺麗に並んでるでしょ。だけど自然に作ったものはこういう大根なんです。これを作るために、このおじいちゃんは50年以上百姓してるんです。手を見てください」と言うんですよ。その手は本当に化石のような手。想像もつかないような太くて短い手なんです。「こういう手が大根を作る人の手なんですよ」と伝える。すると、お客様はその手をじっと見て「おじいちゃんありがとね。また遊びに来る時まで元気でおってね」と、農業の大切さを理解してくれます。そのおじいちゃんも「喜多さん今度はいつ来てくれるん?」と聞いてくれるんです。こうした我々の取り組みが、地域の皆さんの暮らしに、少しでも潤いを与えられたら嬉しいなぁと思うんです。

熊谷 本当に大切な取り組みですね。

秋吉 私が以前、セカンドステージさんを取材させていただいた時に感じたことは、スタッフの皆さんがとても楽しそうに働かれているということでした。皆さんが「ここはマニュアル重視ではなくて、スタッフ一人一人の真心や自主性に任されている。それがやりがいにも繋がる」と話されていたのがとても印象的でした。

喜多 元々、私は接客商売の経験がなかったですし、スタッフのみんなを信頼して任せるということしかなかったんです。あとは、お客様の立場になって、どんなことをお求めになっているかを考えたら、おのずとどうやって対応したらいいか分かりますよね。なのでスタッフのモチベーションに頼って、基本的に守らないといけない事だけお伝えして、「あとはあんたらの熱意やで」とお願いしてます。

熊谷 なるほど。そうやって任せてもらえると、スタッフの方のモチベーションも高まりますよね。もっと色々と聞きたいところですが、お時間になりました。最後に一言、リスナーの皆さんにお願いします。

喜多 高松の街中からですと1時間ぐらいで来れます。自然もたくさんある地域です。ご家族で自然を見ながらゆっくりと過ごしたい時には、ぜひセカンドステージをご利用ください。土曜日曜は温泉も開けておりますので、ぜひいらしてください。

一同 喜多さん。本日はありがとうございました。

喜多 ありがとうございました。

次回(3/27)ゲスト 株式会社ウエストフードプランニング 間城友香利さん

こだわり麺や高松店で、ひときわ楽しそうに働くパート歴7年の間城さん。お会計の際に聞こえる間城さんの「ごゆっくりどうぞ〜」には、多くのサラリーマンが元気をもらっているに違いありません。子育てと仕事の両立ができて、楽しく働ける職場に必要なこととは何なのか?仕事を楽しむコツとは?などなど、しっかりと聞いてみたいと思います。