コラム
「いろんな人がいて初めて社会なわけで、それが自然ですよね」
サニーサイド 多田周平さん
『「働く」の幅を拡げる』
人は常に誰かと働いています。人は不思議なもので、同じ仕事であっても、ともに働く人によって幸せな気持ちにもなるし、暗い気持ちにもなります。だから、少しだけ顔を上げて、隣にいる誰かを見つめ、どんな人であるかを知りたい。誰かを知るということが、「働く」という価値観の幅を、少しだけ拡げてくれます。そして、その拡がりが、誰もが自分らしく、活き活きと働ける社会を創っていくのだと信じています。
こんな想いから動き出したイベント「ヒトデTALK」。第二回目は『「ひきこもり」と「働く」を考える』と題して、障がい者やひきこもりなど、様々な「個性」ある社員を積極雇用している(株)サニーサイド代表取締役の多田さん、ひきこもりの相談事業を始め、ご家族、支援者、企業向けの教育事業や若者のコミュニティ事業などに取り組む(一社)hito.toco代表理事の宮武さんをお招きし、人材不足時代に打ち勝つための「個性ある人材の活用」のリアルについて、トークセッションします。それに先立って、サニーサイドの多田さんに、日頃の活動や今回のヒトデTALKに対する想いを伺いました。
株式会社サニーサイド 代表取締役社長 多田周平氏
「個性が共生し調和が発展を生む」という理念のもと、「個性」ある社員を積極雇用。29年9月高松市に「SUNNY DAY HOSTEL」を開業するなど、独自の人材育成ノウハウを活かして、元当事者のスタッフと共に事業拡大中。
-サニーサイドでは、個性のあるスタッフが活き活きと働いています。その現状について、簡単に伺ってもよいでしょうか。
サニーサイドはホテルやショッピングセンター、オフィスビル等の清掃管理を行なっている会社です。アルバイトを含めると、現在では160名を越えるスタッフと共に事業を行なっています。そのうちの1/3が元ひきこもりと元ニート、1/3が障がいを持っている人、1/3が主婦や学生という構成。それぞれがバラバラに仕事をするのではなく、あえて一緒に仕事していただいてますね。外から見たら、誰が元ひきこもりなのか、誰が障がいを持っている人なのか、分からないと思います。もちろん、カテゴリーを設けて、管理した方が、経営的には断然楽かもしれない。でも、それは自然な社会ではないと思うんです。いろんな人がいて初めて社会なわけで、それが自然ですよね。そっちの方が面白いじゃないですか。これまでは色んな施設からお仕事をいただいていたんですが、2017年9月には、自分たちでも雇用を生み出したいと思い「SUNNY DAY HOSTEL」というゲストハウスをスタートさせました。
-確かに、色んな人がいるのが、自然な社会の在り方ですね。一方で、そうした個性のある人の採用には課題が多いのも事実で、ほとんどの企業が踏み込んでいない。多田さんは、どうしてそこに挑戦しようと思ったのですか。
今10年後の未来について考えたときに、確実に分かることって、人口が減るってことなんですよ。人口が減るってことは、介護業界や僕らの業界は人手不足になるのが目に見えてました。そこに対して「どうしたらいんだろう?」って悩むばっかりで、何の有効な手を打てない時期がしばらく続いたんです。うちが最初に手がけたホテルは山の上だったので、特に難しさを感じてました。香川県は有効求人倍率も高くて、パートアルバイトの仕事も溢れている。そんな中でビルメンテナンスの仕事で求人するのは、とても厳しかったんです。みんなと同じ海に竿を投げてもダメだと感じました。だから、今までと違う場所に竿を投げて、そこに集まってくれた人たちがしっかり働けるような仕組みさえ作れば、やっていけると考えたんです。そこから、ひきこもりや障がいを持っている人でもしっかり働ける環境づくりを進めていきました。
-やはり背景には人手不足があったんですね。そこから、今までよりも視野を広くして人材を採用するようになったと。理屈では分かりますが、実際はそんなに簡単なことではないと思います。それでも結果を出し続けている多田さんですが、実際に取り組んでみての率直なお気持ちを教えてください。
やっぱり大変ですよ。(笑)例えば、1つの作業を教育するにしても、自分たちがこれまで教育してきた人たちよりも、はるかに時間がかかったり、はるかに不器用だったりするわけです。ひきこもりの人の場合、コミュニケーションや協調性が訓練されてこなかったケースが多いので、人間関係、信頼関係を構築するのが難しかったりします。作業の習得、コミュニケーションの2点は、相当寛容にその人のことを見てあげる必要があります。企業なので、短時間で利益に直結するような即戦力人材はもちろん欲しいですが、それだけでは個性のある人材は雇用できないです。
-その人に合わせた教育や環境が必要なんですね。そうした、ある種の手間をかけてまで個性のある人材を雇用することのメリットはなんでしょうか。
プラスな面も多いです。自分たちの努力でコントロールできる幅が、大きく拡がるんですよ。そうした方々でも当たり前に仕事ができるように、自分たちを変化させればいい訳ですから。昔のように求人誌にたくさんのお金を払って、万に一つの確率で即戦力人材を狙うか、個性のある人材を雇用して、彼らに生産性を持たせるために、自分たちが変わる努力をするかの違いです。もちろん自分たちの努力を選択したほうが、自分たちでコントロールできますよね。そうした努力を積み重ねていくと、誰がやっても成果が出せる仕組みを作ることができるっていうのも、大きなメリットです。個性のある人材を戦力にできるっていうのは、誰が来ても戦力にできることに繋がります。これは会社にとって、大きな強みになっています。それさえあれば、熟練の人が退職しても困ったりしない。誰もが成果を出せる仕組みに変わっているので。 おかげで、会社として懐の深さはすごく拡がりました。
-誰でも戦力に育てることのできる仕組み。人材が多様化する中で、とても大切なことですね。この辺り、1月13日のヒトデTALKでは、もう少し具体的に教えてください。きっと、多くの会社や団体の方が知りたがっている内容だと思います。
分かりました。当日はよろしくお願いします。
個性ある人材を積極採用しながら、事業を前進させていく多田さん。その背景にあったのは、人材不足時代に打ち勝つための努力でした。そうした努力の積み重ねの上にあるのは、誰もが戦力になる仕組みと企業としての懐の深さ。ヒトデTALK当日には、さらに踏み込んで、具体的な取り組みや次なる展望をお伺いしたいと思います。みなさまぜひお越しください。
Information
日時
平成30年1月13日( 13:30~16:20(受付13:00~)
主催
株式会社Woriks
後援
香川県
場所
ヒトデ事務所(760-0054 香川県高松市常磐町2-14-1 3F)
内容
①ゲスト講演 ②トークセッション ③参加者交流会
費用
1,000円
定員
先着30名
申込
こちらからお申込ください。→http://
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ゲスト
株式会社サニーサイド 代表取締役社長 多田周平氏
「個性が共生し調和が発展を生む」という理念のもと
一般社団法人hito.toco 代表理事 宮武将大氏
自身8年間のひきこもり経験を活かして、ひきこもりの相