中の人日記

「 仕事を好きになる ために大切なこと」
ヒトデの中の人日記

これまで300人以上にインタビュー し、色んな暮らし方や生き方に触れてきたヒトデの秋吉が綴る日記です。どうぞご覧ください。読んでくれた方の「働く」という価値観の幅が、ちょっとだけ拡がるかもしれません。

前回、「仕事を好きになる」ことの大切について書きました。今回は「どうやったら仕事を好きになれるのか」を考えてみたいと思います。

 

就活セミナーでは教えてくれない大切なこと価値を考える自分と仕事の間を考える没頭してから考える考えた先に見える自分の感情に向き合う

就活セミナーでは教えてくれない大切なこと

スーツの着こなしやお辞儀の仕方を教えてくれる就活セミナーでも教えてくれない。けれど、とっても大切なこと。そんなことが世の中にはたくさんある気がしています。「仕事を好きになる方法」もその1つ。やったこともない仕事の「志望動機」や、誰も予測できない未来に対する「やりたいこと」を、一夜漬けで作文させることよりもよっぽど大事。そんなことの1つだと確信しているのです。「仕事を好きになる」簡単そうで難しい。でも、周りにいませんか。みんなと同じ仕事をしているのに、楽しそうでチャーミングな人。太陽のような人。無愛想だけど、背中にワクワクが溢れている人。そんな人たちの中には「好きなことを仕事に出来ている人」もいることでしょう。でも、それ以上に「仕事を好きになれた人」がいるのだと思うのです。むしろ「好きなことを仕事に出来ている」と思っている人も、元々は「仕事を好きになれた人」だったのかもしれません。仕事を好きになるにはどうしたらいいんでしょう。学校の教科書にも書いてありません。それでもたくさんの「働く人」にお会いして話を聞くと、楽しく働いている人たちにいくつかの共通点があることに気がつきました。そして、そこに「仕事を好きになるためのヒント」があるように思えたのです。

「好き」という感情は自分の内側にあります。仕事に対するそれも同様。自分と自分の仕事をどう解釈するかによって「好き」や「嫌い」あるいはそれ以外の感情に分かれます。仕事を捉えて「好き」と解釈するまでの間にある思考のプロセス。仕事を好きになれる人には、この「思考の道のり」に3つの共通点があるよう思います。「仕事の価値を考える」「自分と仕事の間を考える」「没頭してから考える」仕事を好きになれている人は、意識、無意識を問わず、こうした3つの「考える」を実行しているように思うのです。

価値を考える

「どんな仕事をしていますか」という質問に「水道管を作っています」と答える人もいれば「街の水道インフラを通じて、みんなの暮らしを支えています」と答える人もいます。仕事好きには後者が多い。自分の仕事の価値を日頃から意識できているのだと思います。仕事はそれ自体が目的ではありません。それを通じて誰かに喜んでもらうということに価値があります。その価値が働く人のやりがいやモチベーションに繋がり、「好き」という解釈を生みやすくさせているのかもしれません。みなさんの仕事の価値はどこにあるのでしょうか。誰が喜んでくれるんでしょうか。日常の業務の中で、それらを意識することは難しいかもしれません。ですが少しだけ顔をあげて、喜ぶ人の姿を思い描くと、自分の仕事を前向きに捉えることができるかもしれません。

自分と仕事の間を考える

家族やパートナーのため、ペットのため、趣味のため。人は様々な理由を持って働いています。自分と仕事の間には何があるのか。どんな理由であれ、自分自身で考え抜いて辿り着いたそれは本人にとって尊いもの。誰が口を挟めるものでもありません。大切なのは他人に綺麗に説明できるということよりも、自分自身がそれに納得できているか。言わずもが、そうした納得感を持っている人ほど、仕事を好きになっている印象があります。この納得感も「好き」という感情を後押ししてくれる大切な要因。自分と仕事の間にどんな理由があるのか。きちんと考え抜いて、納得を導き出す。その先に「好き」という解釈が現れる。間を考えるのが大切です。

没頭してから考える

「嫌だなぁと思ったことも、やり切ったら面白さが分かってきたんです」ある飲食店の店長の言葉。どんな仕事でも最初は不安があります。やりがいや楽しさよりも不安が勝ってしまい、身動きが取れなくなってしまうこともあるかもしれません。最初は失敗して落ち込むこともあるでしょう。それでも仕事を好きになれる人は、その先に面白さや楽しさがあることに気付いているような気がします。不安な時もある。落ち込む時もある。それでも没頭して取り組んだ先にこそ感じられる仕事の楽しさがある。もしかしたら、やりがいとストレスは一対なのかもしれません。2つを上手にバランスするためにも、没頭する時間が大切。自分の仕事について楽しそうに話す店長を見ながら、そんなことを思っていました。

考えた先の感情に向き合う

「仕事を好きになる」とは、自分と自分の仕事を肯定的に捉えて、前のめりに取り組むこと。目の前のことをポジティブに解釈できるかどうかが重要です。少し大げさかもしれませんが、目の前のことを肯定的に捉えて好きになる力は、人生を豊かにしてくれる力だとも思っています。仕事に限らず、私たちの周りには色んな出来事があります。それをいかに解釈するかが、人生そのもののような気がするのです。一方で、目の前のことを肯定的に捉えることは簡単なことではありません。「どう向き合うか」「なぜ向き合うか」と考えあぐねることもあるでしょう。そんな時、仕事を好きになっている人たちが実践している「3つの考える」が参考になるのではないでしょうか。価値を考え、間を考え、没頭してから考える。すると見えてくる自分の感情。教科書や就活セミナーでは教えてくれなかったことですが、目の前で活き活きと働く人たちが行動で教えてくれた、とっても大切なことのような気がします。

(2018/5/8 秋吉直樹)