イベント

「 LGBT がいきいきと暮らせる社会にしたい」
PROUD 藤田博美さん

『「働く」の幅を拡げる』

人は常に誰かと働いています。人は不思議なもので、同じ仕事であっても、ともに働く人によって幸せな気持ちにもなるし、暗い気持ちにもなります。だから、少しだけ顔を上げて、隣にいる誰かを見つめ、どんな人であるかを知りたい。誰かを知るということが、「働く」という価値観の幅を、少しだけ拡げてくれます。そして、その拡がりが、誰もが自分らしく、活き活きと働ける社会を創っていくのだと信じています。

こんな想いから動き出すイベント「ヒトデTALK」がスタートします。記念すべき第一回目は『「LGBT」と「働く」を考える』と題して、今回は性の多様性を尊重する社会作りを目指しているPROUD代表の藤田 博美さん、公共交通の経営者として地域の多様性について考えていることでん代表の真鍋 康正さんをお招きし、LGBT当事者の「働く」に対する心境や、それを取り巻く社会環境について、お話しいただきます。それに先立って、藤田さんに日頃の活動や今回のヒトデTALKに対する想いを伺いました。

藤田 博美 / Fujita Hiromi
PROUD代表
調剤薬局で事務員として11年勤めて転職を決意。1年間、デザインの職業訓練を受けた後、老舗の染物屋に再就職して15年働いている。今後の働き方を考え中。性的少数者のQOL向上はライフワークとして継続していきたい(proud-kagawa.org

-まずはPROUDの活動について、どんなことをしているのか教えてください。

定期的にLGBT当事者の交流会を開催してます。LGBTに関する情報とか、仲間が見つかる居場所作りですね。これが今の活動のベースになっています。それに加えて、市民に向けての啓発活動として、講演会をしてます。他県から講師を呼ぶ場合もありますし、最近では自分たちで講師に立つ場合もあります。講演会や研修会という真面目なものから、映画祭のようなエンタメ的なイベントでLGBTについて知ってもらうこともやってますね。

-PROUDの活動を始めようと思ったきっかけはどんな想いだったんでしょうか。

立ち上げが1995年なんです。自分自身同性愛者という自覚があって、仲間を香川で見つけたいという想いから始めましたね。集まって話す場所を作りたいって思ったんです。その想いは、今もずっと根底にあります。普段の生活では、マイノリティ同士はめったに会わないので、情報とかも限られてるんですよ。だから、ここに来れば仲間が見つかるよっていう居場所を作りたかったんです。LGBTって、黙ってると社会から無いものにされてしまうんです。それが嫌で、やっぱり自分に正直に生きたいんです。別に悪いことをしているわけじゃ無いので。仲間に会うためには「自分はここにいますよ」って知らせないと見つからないですよね。だから自分はカミングアウトして、PROUDの活動をスタートしようと思ったんです。

-実際にPROUDの活動を始めてみて、どのようなことを感じましたか。

活動を始めてから、参加者はずっと途切れることなく集まっています。その意味では、香川県にいるLGBT当事者の居場所になれてるのかなぁという想いはありますね。活動を始めてから20年が経ちますが、当事者の想いも少しずつですが、変わってきている気がします。立ち上げて10年ほどは、参加者の方も自分の性について、隠したい人がほとんどだったので、交流会が活動の中心でした。2005年くらいから徐々に、講演会とか映画祭とかを一緒にやろうという仲間が出てきたので、ようやく外向きの活動にも取り組めるようになりましたね。

-PROUDが目指しているゴールを教えてください。

性的マイノリティってことを隠さずに生活できる社会ですね。それがゴールかな。今は、徐々に啓発が広がって、理解する人も増えてはきますけど、当事者はまだまだ隠したい人も多いですね。性的マイノリティってことが、笑われることであったり、嫌がられることであったりするんですけど、それがなくなって、その人の生き方とか個性っていう風に当たり前になればいいなぁと思います。

-LGBTが当たり前の社会になるために、クリアすべき課題はありますか。

年代による理解の差っていうのが、結構大きいですね。年代が上になると、偏見のある人がかなり多いです。「病気」や「変態」と言われたり、「犯罪」と結びつけられたり、そうした偏見が取れたらいいなぁと思いますね。あとは、テレビを中心とした、メディアでのオネェ系のタレントさんの扱いですね。女性っぽい男性を馬鹿にしたりする風潮が、当たり前になっているところがありますよね。笑っていいんだみたいな。それがなくなったらいいなぁと思いますね。当事者の中には、それで傷つく人も結構いますから。

-そうした課題解決に向けて、取り組まれてることがあれば教えてください。

年配の人向けには、コミュニティセンターとか年配の世代がたくさん集まる場所で、パネル展を巡回して、LGBTを知ってもらう取り組みを始めています。メディアについては、テレビ局に抗議とかそういうことをするのではなく、自分たちの取り組みやメンバーのことを取材してもらえるようにしてますね。自分たちが普通に香川で働いて、普通に暮らしてますよってことを取り上げてもらいたいですね。あとは全体的なことですが、できるだけ多くの人との接点を作るようにしています。パネル展を巡回で行うこともそうだし、交流会も一般の方にもご参加いただけるようにしています。そうした接点を増やすことで、LGBTが当たり前の社会につながればいいなぁと思ってますね。

-最後に、8/20のヒトデTALKへの想いをお聞かせください。

社員一人一人が、その人らしく働けるような環境づくりをしようと思っている経営者の方とか、従業員の立場でも、顧客側の多様性を考えている人とか、そういう人にぜひ参加していただきたいですね。LGBT当事者にとっては、今の職場に満足していない人が、次の転職先を見つけるためのヒントを見つけられたり、すてきな会社に出会えたりしたら嬉しいです。お互いにとっての出会いの場にしていきたいです。

-藤田さん、ありがとうございました。8/20もよろしくお願いします。

はい、ありがとうございました。

「LGBTがいきいきと暮らせる社会にしたい」そんな想いで活動を続ける藤田さん。一つ一つの言葉を丁寧に、それでいて力強くお話する姿がとても印象的でした。

およそ20人に1人はいると言われているLGBT。今でも多くの方が、心無い偏見によって、学校や会社でツラい思いをしています。少し顔をあげて、我々の隣で働く人のことを見つめ、どんな人であるかを知る。こうした価値観の拡がりが、誰もが自分らしく働く社会を作るのだと信じています。そうしたきっかけとなるヒトデTALK、ぜひ多くの方にご参加いただきたいです。

information

日時 8月20日(日)13:30〜15:40(13:00受付開始)
場所 高松市市民活動センター第二会議室(高松市常磐町1-3-1 瓦町FLAG8階)
参加費 無料
申込 info@hito-de.comまで①氏名②連絡先③参加人数をお知らせください
主催 株式会社Woriks(hito-de.com
共催 PROUD(proud-kagawa.org
トーカー
藤田 博美 / Fujita Hiromi
PROUD代表
調剤薬局で事務員として11年勤めて転職を決意。1年間、デザインの職業訓練を受けた後、老舗の染物屋に再就職して15年働いている。今後の働き方を考え中。性的少数者のQOL向上はライフワークとして継続していきたい(proud-kagawa.org

真鍋康正/ Manabe Yasumasa
ことでんグループ代表
1976年高松市生まれ。経営コンサルティング会社などを経て、2009年帰郷。2001年に民事再生法適用したことでん、ことでんバスなどの再生に従事。ことでんの他、ことでんバス、ことでんタクシー、アイル・パートナーズなど、グループ各社の代表取締役社長(http://www.kotoden.co.jp/

秋吉直樹/Akiyoshi Naoki
株式会社Woriks代表取締役
香川県地域おこし協力隊
『「働く」という価値観の幅を拡げる』という企業理念のもと、人で見つける求人メディア「ヒトデ(hito-de.com)」の運営、地方での就労サポートなどを実施。
著書「地域おこし協力隊」(https://www.amazon.co.jp/dp/B0716LNJJF

★ヒトデTALKの想い★
私たちは常に「誰か」とともに働いています。どんな仕事であっても、誰かと協力し、時に誰かと励ましあい、時には誰かと競いあいながら働いています。人は不思議なもので、同じ仕事であっても、ともに働く人によって幸せな気持ちにもなるし、暗い気持ちにもなります。だから、少しだけ顔を上げて、隣にいる誰かを見つめ、どんな人であるかを知りたい。誰かを知るということが、「働く」という価値観の幅を、少しだけ拡げてくれます。そして、その拡がりが、誰もが自分らしく、活き活きと働ける社会を創っていくのだと信じています。