求人

「毎日の練習の効果は、まだ分からなくていい」
御意 細川学さん

【目次】

まだ分からなくていいやりたいか、やりたくないか隣に目をやるとふとした時に「なぜ」と「キャッチボール」大事なものを見直す1年バトンを次にヒトコト求人情報

まだ分からなくていい

パーン…パーン…「はい、あと一球」

早朝6時、細川さんは、息子の八一(やいち)くんと一緒にバッティング練習をしていた。まだ周囲はシーンと静まりかえっている公園。新聞紙で作った手作りのボールが、壁に当たる音だけが響いている。バッティングにキャッチボール、さらには階段ダッシュまで、みっちり1時間の練習。2人の毎日の日課だ。「前にね、息子が『お父さん、もっと野球が上手くなりたい』って、自分から言い出したんですよ。それ以来、ほとんど毎日続けてます」本人の気持ちにとことん付き合うその姿は、仕事場にいる時のピリッとしたそれとは一転、息子想いの優しいお父さんだ。「今はまだ分からなくていいんですよ。でも、大人になった時に、あの時の練習が生きてるって、きっと気づく時が来ると思うんです」汗だくになって、朝ごはんに向かう八一くんの背中を見ながら、ポロっと言った一言。細川さんという人をよく表している。一見、気難しそうに見えて、実は誰よりも人のことを考えている。細川さんの優しさはたいていの場合、少し時間が経ってから相手に伝わる。あの高倉健さんがご存命なら、きっとこう言うだろうなぁ「あんたも不器用だねぇ」

やりたいか、やりたくないか

香川県高松市の中心部、丸亀町商店街。有名ブランドや飲食店が立ち並ぶショッピング通りだ。そこからほど近い静かな路地に、株式会社mizizi(ミジィジィ)が運営する和食処「御意」はある。瀬戸内海の魚介や、地元農家が愛情込めて育てたこだわり野菜で作る、創作料理が味わえる店だ。県庁や銀行、大企業の支店があるビジネスエリアからも近く、夜は多くのビジネスマンが訪れている。そのほとんどが接待客だというから、味やもてなしへの信頼度の高さが伺える。そんな御意で腕を振るうのが、mizizi代表の細川さんだ。miziziは他にも、農家から直接仕入れた地元野菜を販売する「百姓一揆」や「THE FARM(ザ ファーム)」、昔ながらの優しい味の定食を楽しめる「田中屋」など、香川県内で「食」に関わる様々な事業を展開している。全ての事業で、関わる人を大切にし、幸せの輪を拡げたいと考えている細川さん。そんな細川さんの想いに共感し、一緒に輪を拡げてくれるスタッフを募集している。

miziziはスワヒリ語で、「ルーツ」という意味。「以前、タンザニアの女の子が、4年ほど働いてくれてたんですよ。考え方も文化も違って、最初は喧嘩ばっかりしてましたけど、最後はお互いに信頼できて、ほんまに家族みたいでしたね」ある時、彼女の母親が日本を訪れ、感謝の意を伝えてきたという。細川さんは、その時の言葉が忘れられないと話す。「『私たちには何もないけど、毎日あなたたちのことを祈ることはできる。だから、毎日祈ります。ありがとう』って言われたんですよ。その時、すごく彼女たちに豊かさを感じました。物がない方が心は豊かになるんちゃうかなと思ったんです」その頃から、細川さんの中で物事を決める基準が、損得ではなく、「やりたいか、やりたくないか」に変化していた。「彼女の帰国と、会社を設立するタイミングがちょうど重なったんです。その時に、お互いにスワヒリ語の中から、好きな言葉を持ち寄ろうということになりました。そしたら2人ともmiziziって言葉を選んでたんですよ。miziziって、正直、分かりにくいって言われます。でも、自分の中で『やりたいか、やりたくないか』って基準を大切にしたいんです。その気持ちに立ち返るために大事な言葉なので、これにしました」言葉の持つ違和感に、ストーリーが加わると、それは優れたコピーやタイトルになるという話を聞いたことがある。なるほど、おっしゃる通り。この話を聞いてから、miziziには違和感を感じなくなっていた。

隣に目をやると

「前の店では、料理に全力投球してたんですよ。でも今は、余裕を持って料理することにしてます。」20代前半から商売をしている細川さんに、仕事で大切にしていることを聞いた時だ。「昔は、手間暇かけて作ったり、毎日メニューを変えたりしてました。料理のクオリティを保つために、色んなものを犠牲にもしましたよ。家族とか、人間関係とか。自分でも無理をしてたと思いますね」料理に全力を捧げるあまり、それ以外のことをないがしろにしていたという。そんな細川さんの考え方を変えるきっかけになったのは、お客さんの一言だった。「お客さんから『この前の卵焼きない?』って、必ず聞かれるんですよ。毎回違う料理を出すのもいいけど、ホッとするような料理を望んでるなぁと気づいたんです。100%の料理を出すのはもちろん大切なんですけど、そうじゃないやり方もあるなぁと分かりました」気持ちの余裕は、視野の拡がりに繋がる。まな板の上で勝負してきた細川さんが、畑に出て、生産者さんと関わるようになったのも、この頃からだ。地域で頑張っている農家を応援したい。いつしか細川さんの作る料理には、香川県産のこだわり野菜がずらっと並ぶようになっていた。

気持ちの余裕は、優先順位も変えていた。「この前、子どもとゆっくり過ごして、一緒に寝たんです。なんかええ時間やなぁって思いました」がむしゃらに仕事をしていた頃は、家族よりもお店を大切にすることもあったという。「当時は優先順位がおかしくなってたんです。忙しさに任せて生活してる感じでした。生活を守るために忙しくしてるっていうか。それがなんか違うなって思い始めたんですよね。それに気づいてからは、家族とか従業員の生活が、優先順位の一番になったんです」全力疾走していた頃には見えなかったものが、歩みを落ち着かせることで見えてくる。家族や従業員、地元で頑張る農家など、大切な人たちも隣で走っていることに気がついた細川さんは、今度はみんなと一緒に走っていこうと決めていた。

ふとした時に

「店長の人柄ですかね」御意で働き始めて8年目を迎える神野さんに、続けてこれた理由を聞いた時、すぐにこう返ってきた。「厳しい時もあるんですけど、すごく親身になって話を聞いてくれますね。『人は一人では生きていけんのやけん、常に人のことを考えて行動しような』って、ふとした時に、生きていくうえで大切なことを教えてくれるんです」スタッフのプライベートに立ち入りすぎるとセクハラと言われかねない、ある意味、世知辛い世の中。そんな現代社会でも自分の大切にしたいスタッフならば、仕事面でも生活面でもサポートする。損得ではなく、「やりたいか、やりたくないか」で判断する細川さんだからこその寄り添いかたなんだろう。細川さんのことを「人のために格別行動する人」と、紹介してくれた神野さんの笑顔を見れば、その想いが届いているかどうかは一目瞭然だ。

「なぜ」と「キャッチボール」

一緒に働くスタッフの幸せを考える細川さんは、彼らの独立開業もサポートしている。その取り組みの1つが、地元野菜やお惣菜を販売するThe FARMで働く、清水さんご夫婦。競輪選手の旦那さん、通さんが、現役引退後のためにお店を開きたいと、細川さんに相談したことがきっかけだった。「厳しいですよ。料理とか商売についてはストイックな方ですからね。でも、ガミガミ言うわけじゃなくて、とにかく僕らに考えさせるんですよ。なんでも自分たちで解決しなさいって感じですね。将来独立も視野に入れてるんで、逆にそれがありがたいんです。細川さんに手取り足取りしてもらってたら、いつまでも自立できんですからね」ハードな練習を重ねてきた競輪選手が言う「厳しい」は、生半可なものではないんだろう。ただ、それがただの厳しさに終わらず、感謝の気持ちにまでさせる手腕は、20年のキャリアの中で、商売の酸いも甘いも経験した細川さんならではだ。

「全部に『これはどうして?』って、ツッコミを入れてくれたんです」オープン前、細川さんにお店のイメージを提出した時のことを、奥様の三知さんが話してくれた。「『どんなお店にしたいの?どんなメニュー?どんなお客さんに来て欲しい?』って、全部に『なぜ?』と聞いてくれました。それがあったので、私たちも具体的にイメージできるようになりましたし、何より、そこまで考えてお店って作るのかと、勉強にもなりましたね」補助金や融資など、お店を始めるハードルは昔に比べて、だいぶ下がっている。でも、だからこそ、始めるのが簡単だからこそ、「なぜ始めるのか」をきちんと考えて置く必要がある。それを怠ると、うまくいってる時はいいが、ダメになった時の踏ん張りが効かない。細川さんの「なぜ?」の問いかけには、きっとそんな想いが込められている。細川さんの言葉を借りると「やりたいか、やりたくないか」を考える作業だ。「滅多に褒められないんですけど、この前『ここみたいなお店をいろんな所に作りたいんだ』と話してくれたんです。その時は、認められた気がして本当に嬉しかったですね」そして、本人が「やりたい」と言えば、とことん付き合う。「なぜ?」への応酬は、毎朝のキャッチボールを思い起こさせた。細川さんは、清水さんご夫婦にも同じ気持ちだったのだろう。「今はまだ分からなくていい」

大事なものを見直す1年

細川さんの支援を受けて、実際に独立した方にもお話を伺った。韓国料理屋スッカランを営む古川さんだ。「最初に独立を申し出た時、『まだ古川くんはお金儲けの事しか考えてないやろ』って言われたんです。自分でもそんな意識はないと思ってたんですけど、学さんは見抜いてたんでしょうね」その後1年間かけて、古川さんは細川さんと共に地元農家を回り、その言葉の意味を徐々に理解していった。「ホンマに大事なものは何かっていうのを、見直す1年間でしたね。自分たちの作る野菜に誇りを持っている農家さんに会ったり、そういう農家さんが大事にしている家族の話とか聞いたりね。こういう人たちがいるから自分たちが商売できるんだなぁと、考えさせられましたよ。こういう事をもっと大事にせなあかんと思いましたね」古川さんにも「やりたいか、やりたくないか」が芽生えた時、細川さんはスッと、お店を古川さんに譲渡した。大事なことにブレがなくなった古川さんのお店は、御意同様、連日たくさんのお客さんで賑わっている。スッカラン自慢の料理には、もちろん香川県のこだわり野菜がふんだんに使われている。

「初心に戻る時間なんですよね」月に一度、関係者とのミーティングを、自分の店ではなく御意で行う古川さんに、その理由を聞いた。「月に一度、気持ちをリセットするために、御意でやらせてもらってます。もちろん、学さんはミーティングには参加しない。それでも学さんの姿を見てるだけで勉強になるんですよ。仕事してる様子やスタッフとのやりとりなんかも刺激になります」独立後も関係性は続く。お互いがお互いを紹介する時、どこか誇らしげなのは、それぞれが認め合い、尊敬し合ってる証拠。良い師弟関係をそのまま体現したようなお二人だなぁと思っていると。「今度、嫁が出産するんですよ。そしたら『古川くん、店閉めるけん、一緒に立ち会おう』って言ってくれて。学さんのそういう人間性が好きなんですよ」そう言って笑う古川さんを見て、考えを改めた。お二人は師弟関係を超えた、良き友人関係に違いない。

バトンを次に

「ペイフォワードって映画知ってますか。あれ僕大好きなんですよ」有名子役演じる小学生の、“自分が受けた思いやりを、別の3人に返す”というアイディアが、幸せの連鎖を起こすという映画。取材の後半、ざっくばらんな会話をしていると、ふいに細川さんは好きな映画の話をしてくれた。「幸せが増えていくのがええですよね。しかも、誰も無理をしてない。無理せずに幸せが一人歩きしてくれる感じがええんですよ。実際には、映画ほど上手くはいかんし、綺麗事って言われるかもしれんけど、ああいう感じを実現したいと思ってるんです。清水さんにしても、古川くんにしても、僕には返さんでええので、誰か別の人にバトンを渡して欲しいんです」無愛想で、言葉数も多くない。もちろん誤解されることも多いだろう。それでも人が好きで、他人の幸せを考えるのはもっと好き。取材の終わりに「笑顔の写真を撮らせください」とお願いすると「あんまり上手くできんのですよ」と言って、ニコッと不器用に笑ってくれた。そんな細川さんと一緒に働くのは、普通の会社に勤めるのと、一味も二味も違うんだろう。ただのスタッフではなく、家族のように接してくれる細川さんのバトン、それを未来に繋げる仕事でもある。

(2017/7/28 秋吉直樹)

ヒトコト

代表取締役の細川さんからのヒトコト

障がい者

積極的に雇ってますね。昔は1日に3、4人は雇ってました。今も数名雇っています。基本的には、その人に合った働き方で、うちが必要としていることであれば、採用しています。単純作業しかできない人であれば、そのための作業を割り振ることもしてます。施設の人と協力しながら、できることを少しずつ増やしていくっていうオリジナルの研修制度もありますよ。


LGBT

全く問題ないですね。友達にもいますし、慣れてますね。普通のことだと思います。全然かまんですよ。


外国人

私自身、新しい出会いもしたいので、逆に外国人の方を採用していたこともあります。英語の勉強もしたかったので。できるだけ英語で話しかけてもらうとかしてましたね。今も中国の人に1人働いていただいてます。スウェーデンの調理人を雇っていたこともあります。全然問題ないですね。


65歳以上

今は4人雇ってます。ご飯炊く人、揚げ物する人、野菜切る人、配達する人ですね。年齢ではなくて、何ができるかで役割分担してますね。お互いの譲歩やと思うんです。長い時間仕事したいけど、体力が無いって人もいるんで、「まずはここから」と少しずつ仕事を増やす努力をしてもらってます。


子育て後の復職者

全然問題ないですよ。短い時間で勤務したいっていう人も歓迎です。業務がたくさんあるので、その人に合わせて割り振ります。時間が経てば状況が変わることもあるので、その人に合わせて仕事をしていただくことにしています。まずはできるところから始めてもらう。あまり最初に風呂敷を広げすぎないことを意識してますね。


ブランクからの復職者

これができなきゃいかんってことは基本的にはありません。できることはなんですか、と聞きながら採用します。2時間だけしか働けないなら、それに合わせて仕事してもらいます。みんなで分担ですよね。今はそうした働き方の方がいいのかなぁとも思ってます。分割しながら、その人の成長に合わせて仕事してもらってます。誰かがダメでも他の人がフォローするような体制にしたいですね。

ヒトコトとは?

株式会社miziziHolding


所在地

香川県高松市栗林町3丁目11番5号


募集職種

店長候補スタッフ、各種調理スタッフ


雇用形態

①正社員②パート・アルバイト


給与

①月給18万円〜25万円

※スキル・経験に応じて決定

時給850円~


福利厚生

独立開業支援、通勤交通費、社会保険


仕事内容 

・「御意」(和食屋)、「田中屋」(定食)、「高松合同庁舎内食堂」における調理スタッフ

・お弁当調理、販売スタッフ

・香川県のこだわり野菜を販売する八百屋スタッフ


勤務地

香川県高松市


勤務時間

①7:30〜24:00のうち8時間

※シフト制。ご希望の勤務時間をご相談ください。

②17:00〜23:00

※短時間でもOKです。ご希望の勤務時間をご相談ください。


休日休暇

日曜定休

※このほかの休日についても相談にのります。ご希望の休日をお知らせください。


求める人

・将来、飲食店・八百屋・惣菜屋で独立したい方

・野菜や料理に興味がある方


募集期間

随時


採用予定人数

数名


選考プロセス

まずは下のフォームからお問い合わせください▶︎書類選考▶︎面接


その他

独立開業支援します。

本気でお店を開きたい方、ぜひご相談ください。