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「釣りとフィギュア、1人の趣味が好きです」
モクラス 高木博貴さん
【目次】
ある岐路に/踊れる職場/実はね…/あの時の声かけがあったから/信頼の笑顔/「スパイダーマンとはちょっと違います」/60㎝オーバーのブラックバス/ヒトコト/求人情報
ある岐路に
小さいもので4、5㎝、大きいものは50㎝以上にもなるらしい。ブラックバスの話だ。ため池が多い香川県ではたくさんの人がバス釣りを楽しんでいる。「毎週末行ってますよ」香川県三豊市にある株式会社モクラスで働く高木博貴さんも夢中になっている1人だ。釣りの話をしている時はとっても人懐っこく笑う高木さんだが、自他ともに認めるほどの職人肌。1人で黙々と仕事をするのが好きだと話す。そんな高木さん、実はある岐路に立たされていた。さぁ、どうする高木さん。
踊れる職場
海に囲まれた荘内半島のちょうど入口に位置する三豊市詫間町。新鮮な海の幸、山の幸が豊富なだけでなく、近くには学校やコンビニ、スーパーなどもある。住むには定評のある地域だ。
モクラスは、そんな三豊市で大正3年から商売を行っている老舗企業。木材業・製材業からスタートし、時代と共に変わりゆくお客様のニーズに対応していきながら、現在の木工加工業を大きな事業の柱に育ててきた。玄関収納や造作材など、私たちの生活に身近な木工製品を製造し、県内各地へ届けている。
高木さんはモクラスに入社してもうすぐ丸4年が経とうとしていた。「最初は断ったんですけどね」派遣社員としてモクラスで働きはじめ、しばらくしてから社長に声をかけられ正社員として入社することになった高木さんに当時の様子を伺うと、そんな意外な言葉から切り出してくれた。「自分に合う仕事を探すために、色々会社を見てみたいと思っていたので、最初は断ったんです。でもやっぱりなかなか仕事って見つからなくて、気が付いたらここで長く働いてました。結構黙々とするのが好きなんですよ。ここはそういうスタイルで仕事に取り組めるから、自分に合ってるなぁと感じてました。働いてる人はみんな優しくてアットホームな職場やし、よく考えたら居心地ええなぁと思って、最終的には社長のご提案を受けて、ここで働かせてもらう事にしたんです」取材中、リズミカルに仕事をする高木さんは、さながら小躍りしているようだった。自分に合った働き方ができる職場は、確かに居心地が良さそうだ。
「もちろんしんどい時もありますよ。僕の担当してる仕事は、時期によっては、かなり量がある時もあります。朝早く来て定時に帰れない時もあるんで、そういう時は正直しんどいですね。それでも4年続けて来れてるのは…やっぱり自分の働き方に合ってるっていうのが一番大きいと思いますね。僕、一匹狼というか…あんまり人とあーしてこーしてっていうのが得意じゃないんです。(笑)でも、ここはある程度自分に任せてもらえる。『高木君、ここまかせるわ』って言ってもらえて、それを自分なりに考えて進めていくのが好きなんです。それが自分に合ってるんですね。だから続けて来れたんだと思います」自分の頭で考えて仕事する。当たり前のように思えて案外難しいことだ。それを毎日の仕事で実践するのはなおさらだろう。自分の仕事にこだわりを持つ高木さんだからこそなせる技。月並みだが、まさに職人技という言葉がよく似合う。
実はね…
もちろん社内でも高木さんの仕事は高く評価されていた。「初めは愛想が無い子やなぁと思ってましたけどね。笑」そう言って目尻を下げるのはモクラス代表取締役社長の矢野さんだ。当時派遣社員だった高木さんに声をかけて口説いた張本人である。
「当時まだ私が工場長だった時に、彼と一緒に働いていた女性が声をかけてくれたんです。『工場長、あんな子、絶対雇わないかんわ。めちゃくちゃよう仕事するで』って。それを聞いてから高木くんの動きをしっかりと見るようになったんですけどね。やっぱり本当にちゃんと仕事するんですよ。やらなきゃいけないことはきっちりやる。だから、当時の派遣会社さんを通じて彼に声をかけたんです」
口下手で一匹狼。高木さん本人は自分の事をそう表現していたが、矢野さんの目には少し違って写っていた。「3年前くらいかな。他の会社さんから事業を引き継ぐ事になって、高木くんと派遣社員の女性2人でその会社に短期の出向にいってもらったんです。正直、ちょっと不安もあったんですけどね。でも、見に行ったら高木君を中心に、他の2人と上手くコミュニケーション取りながら仕事をちゃんと回してるんですよ。これは凄いなと思いました。実はね。もの凄くコミュニケーション能力が高いんですよ彼」
あの時の声かけがあったから
なんと、その時に一緒に出向していた女性が今もモクラスで働いているという。急遽お願いしてその方にもお話を伺わせていただいた。ご夫婦でモクラスに務めているという小倉さんだ。「あの時はお互いに新しい仕事を覚えるのに精一杯だったんですけど、高木君がよく声をかけてくれてたので、やりやすかったです。普段は…シャイだと思いますね。(笑)最初は大人しかったですけど、日が経つにつれて話すようになって、今ではとってもしゃべりやすい弟的な存在です。相談したらちゃんとやってくれますし、何でも聞いてくれるんですよ。それが嬉しいですね」
モクラスに来て初めての仕事。まして出向先でたった3人。きっと不安だったに違いない。それでも、一緒に働いていた高木さんのフォローもあって、無事にやり遂げることができた。大げさかもしれないが、高木さんの声かけがなければ、小倉さんはモクラスに残っていなかったかもしれない。あの時の声かけがあったから、続けてこれたのかもしれない。今、小倉さんはモクラスの正社員だ。
信頼の笑顔
「彼にお願いしているのは一番最後の工程です。一番大事な所なんですが、安心して任せられますね」そう力強く話すのは、高木さんの部署で班長を務める國重さん。普段から高木さんの仕事ぶりを一番近くで見ている人だ。
「よう仕事しますよ。仕事が速いですしね。朝来るのはちょっと遅い時もあるけど。(笑)朝礼おらんなと思ったら、だいたいダーっと走ってくるんです。『すいません。。。』みたいな顔してるんで、まだ許せてますね。でも基本的には真面目ですよ。ちゃんと仕事のルールも守るしね」信頼している。國重さんの顔にはそう書いてあった。たまの遅刻はご愛嬌…かな。
「スパイダーマンはちょっと違います」
少し食い気味に訂正が入った。高木さんに趣味と聞いていた「アメコミフィギュア」について聞いた時だ。「やっぱりタートルズですよ。一番かっこいいです。スパイダーマンとかバットマンとか、ちょっと違うんです。タートルズは別格。なんていうんかなぁ…メジャーなのはあんまり好きじゃなくて、ちょっとひねったのが好きなんです。え?昔テレビで『かっこええな』と思ってた自分のヒーローが、忠実に再現されているフィギュアですよ?『欲しい』ってならんですか?…すみません。気持ち悪いですね、僕。笑」私がぽかんとしていたからか。高木さんはたまらず最後の言葉を付け加えた。小さい頃からの憧れの気持ちを、今でも持ち続けられるのは本当にすごいことだ。そして、ここにもやはり高木さんらしいこだわりがあった。期待を裏切らないぁ。気持ち悪いだなんてとんでもない。むしろ話についていけず、こちらが、すみません。
タートルズが小学校からの憧れなら、バス釣りは去年目覚めた趣味だ。「本格的にはじめたのが去年です。去年大きいのを釣って、一気に目覚めましたね。そこからええ竿とか買い出して、今はどっぷりですね。バスって、同じ魚でも大きさがピンキリなんですよ。小さいのもいるし、ホンマに大きいのもいる。大きいのが釣れた時は快感なんです」なるほど、釣れる大きさに差があるということが職人気質をかき立てるのか。大きいものを釣った時、さぞかし嬉しがることだろう。いや、小さいものを釣った時も喜ぶのかもしれない「もっと大きいのを釣るために、次はどんな工夫をしようか」と。
60㎝オーバーのブラックバス
仕事に趣味に、充実した毎日を送る高木さんだが、1つ悩みがあった。それは、モクラスで管理職候補にならないかという上司からの打診にどう応えるかだ。矢野さんも國重さんも声を揃えて話していた。「彼ならやれる」しかし、当の本人は迷っていた。
「正直ねぇ…まだ早いんちゃうかなぁと思ってます。(笑)実は、前の職場では指示する立場だったんですけど、なんかこう、指示するのが苦手で…。押し付けてしまっている気がするんですよね。会社のためにもやらなきゃいけないなぁってのは分かってはいるんですけど…。精神的にまだ早い気がしてるんです」
自分で考えて仕事をするのが好きな高木さんは、その人の楽しみを奪ってはいないだろうか、と指示を出すのをためらってしまうという。もちろん、管理職になれば、一匹狼も鳴りを潜めざるを得ない時もあるだろう。悩む高木さんだが、今回の話を自分の成長の機会とも捉えていた。「まぁ、どっちにしても、これからはもっと人の話を聞いていかないとダメですね。結構自分で判断しちゃう所があるので、他の人の意見も聞きながらやっていこうと思ってます。もっと向上心を持ってやっていくというか、もっと大人にならないとってことですね」
居心地の良い職場か、自分の成長か。高木さんにはそんな二択に見えているのかもしれない。「すぐに上手くやるのは無理でも、やりながら成長しますから。やったら絶対できると思いますよ」矢野さんの言葉だ。
50㎝以上のブラックバスはそうそうお目にかかれないらしい。だいたい30㎝までは成長するが、それ以上は環境によって成長するかしないかが決まるそうだ。当たり前だが、どの動物も一緒。身を置く環境が大きく成長に作用する。勝手に期待してしまう。高木さん、どうせなら60㎝オーバーの大きなブラックバスを狙うのはどうでしょう。
(2017/5/22秋吉直樹)
ヒトコト
代表取締役社長の矢野さんからのヒトコト
障がい者
今、2人働いていただいてます。統合失調症を持っている人と、てんかんを持っている人がいます。やっぱり伝え方や指示の出し方は周りのスタッフと考えたりしてますね。あとは、障害者就業・生活支援センターの方と相談しながら、サポート体制を整えてます。
LGBT
働いてもらうのは、全然問題ないです。ただ経験がないので、どう関わったらいいか、OPENにすべきなのか、そうではないのか、逆に教えて欲しいですね。本人と相談しながら体制を作りたいです。
外国人
実習生は15人ほどいます。ベトナム、インドネシアの人に来てもらってます。やっぱり言葉の壁が難しいですね。最初は本当に身振り手振りでした。最近入った人は、先輩の実習生がいるので、先輩通じて色々と教えてもらってますね。
文化の違いにも最初は戸惑いました。宗教とか、仕事に対する考え方とかも全然違うので。だから、しっかりと話をしながらお互いが働きやすい体制を考えたいです。
日本人スタッフも今は違和感なく接してると思います。彼らがよく仕事してくれるので、頼りにしてる部分もあります。
65歳以上
うちは定年70歳なんですよ。笑
仕事する人が「70歳まで仕事ができる」と安心して働いてもらいたいですね。もちろん絶対に70歳まで働かないといけないわけではないです。途中で退職する人もいます。働きたい人には働ける環境を作りたいと思ってますね。
子育て後の復職者
今、産休で休んでいるお母さんがいるんですが、その人は2回目の産休取得です。取れる人は産休を取ってもらいたいですね。産休をとる間の体制については、僕らと産休を取る人とで考えたいと思ってます。
ブランクからの復職者
病気で休業取っていて、うちで復帰した人が1人います。休まないかん時はゆっくり休んだ方がいいので、その間のフォローをしっかり考えなきゃいけないと思ってます。休みが必要になった時に、会社として何ができるんかっていうことは一生懸命考えますね。
株式会社モクラス
所在地
香川県三豊市詫間町詫間2112-35
募集職種
オペレーター・リフトオペレーター
雇用形態
正社員(採用後3か月間は契約社員となります)
給与
165,000円~
オペレーター手当:5000円~20000円
住宅手当:15,000円
通勤手当:上限10,000円
子育て手当:扶養する高校生までのこども一人当たり月額¥5,000
賞与:年2回(班長・工場長は別途)
福利厚生
各種社会保険・中小企業退職金共済・企業型確定拠出年金
仕事内容
住宅用内装建材の製造業務
機械オペレーター・リフトオペレーター
勤務地
香川県三豊市詫間町詫間2112-35
勤務時間
8:00~17:00 (6:00~22:00の間で時差出勤有り)
労働時間7:50/日
休日休暇
日曜・祝日(土曜日は会社カレンダー)
求める人
学歴不問・未経験でも、まじめでやる気とガッツのある人
募集期間
随時
採用予定人数
若干名
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