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「大好きだよと伝える」
スクルト 柳田梨絵さん
【目次】
「口うるさい」と「優しい」の間/何屋だよ/醍醐味/不思議と/「凛とした女性」/パタパタと/似た者同士/理由が分かる/子どもと会社の成長/ヒトコト/求人情報
「口うるさい」と「優しい」の間
「期待はずれの言葉をいう時に、心の中では頑張れって言っている」
ブルーハーツの大ヒット曲の中で、甲本ヒロトはこう歌っている。なぐさめや、共感だけでなく、時には言いにくい事もしっかりと伝えることが、本当の優しさだ。そんなメッセージがじんわり染み込んでくる、大好きな曲だ。香川県高松市にあるデザイン会社スクルトで働く柳田さんの取材を終えた後、ふとこの曲を思い出していた。
「会社の要の一人っていう意識で仕事してます」創業当初から関わっている柳田さんは、一緒に働く仲間に対して、きちんと言うべきことは言う事を心がけている。自分の気づきや考えを、仲間にきちんと伝えられる職場はあまり多くない。ともすれば「口うるさい人」と思われがちで、自然とみんなが敬遠するからだ。それでも柳田さんは違った。しっかりと伝える事を大切にしている。そして、一緒に働く仲間は、口を揃えて柳田さんを「優しい人」という。「口うるさい」と「優しい」の間には何があるのか。「自信を持って、良い会社だって言えますよ」スクルトで活き活きと働く柳田さんの取材には、そのヒントがいくつも散りばめられていた。
何屋だよ
「うわぁ」絶景スポットを見た時のように声が漏れた。高松市の中心部から車で20分ほど走らせた所にある、スクルトのオフィスに到着した時だ。手の届きそうな場所に、瀬戸内海が広がる贅沢な場所。元々、飲食店だったというオフィスは、広々としていて居心地が良い。
2013年9月、「デザインを地域の力に変える」という想いのもと、株式会社スクルトが設立された。元々、柳田さんの夫である村上さんが、個人で行なっていたデザインの仕事。仲間を集めて、それを会社としてスタートさせたのがスクルトだ。単にデザイン会社と表現するにはためらわれるほど、その仕事は多岐に渡っている。デザインはもちろん、商品の販売計画や、クライアントの経営計画まで手がけている。「たまに、何屋だよって思うことはありますけどね」柳田さんは、笑顔で話してくれた。「自分たちの利益だけを考えて仕事することもできるけど、うちはそれをしないんですよ。難しい道を選んだら、それだけ圧迫もされることもありますが、それは二の次。お客さん目線での『良いか』、『良くないか』だけが判断基準ですね」依頼内容によっては、リサーチから始まり、戦略やコンセプトを作ったうえで、初めてデザインに取り掛かるという。デザインして終わりではなく、その後のプロモーションや、アフターメンテナンスまで行うこともあるそうだ。クライアントにしっかりと向き合い、必要なサポートを丁寧に行う。こうした仕事ぶりが評価され、香川県内のみならず、県外のクライアントからも、多く依頼が来ている。そんなスクルトは現在、一緒に働くデザイナーを募集している。
醍醐味
「私も一緒にデザインしているつもりです」柳田さんは、仕事の楽しさについて、こう切り出した。「直接デザインはできないんですが、だからと言って、関係ありませんではなくて、お客さんとの連絡や打ち合わせなど、やれることはたくさんあるんです。何をやっている人が偉いっていう優劣は、私の中には無くて、みんなの隠れた努力があるから、デザインができるんだと思ってます。だから、お客さんからデザインを褒めてもらえるのが、一番嬉しいですね」お客様目線の仕事を心がけているスクルトは、クライアントとのヒアリングをとても大切にしている。「なぜ始めたのか」「何を伝えたいのか」など、クライアントが潜在的に持っている「やりたいこと」を、じっくりと引き出して、それをデザインで表現する。目に見えている絵や言葉だけがデザインと思われがちだが、そこに至るまでのプロセスも重要。柳田さんの言葉からは、スクルトがそのプロセスの部分を、特に大切にしているということが伝わってくる。
不思議と
元々、仲の良いメンバーで開業したスクルト。チームの一体感は、目を見張るものがある。しかし、だからこそ、柳田さんは普段から仲間への「配慮」を大切にしていた。「元々、夫婦だし、幼馴染がメンバーなので、ほおっておくと、だらけてしまいがちなんです。だからこそ、配慮を忘れないようにしないとなぁ、と。日頃から相手のことを想うことが、大切だと思ってます」良いチームには、良い調整役が必要と言われる。まさに柳田さんはスクルトの調整役なのだろう。代表の村上さんと元々の親友で、スクルトの営業を担当している吉川さんも、柳田さんの役割に感謝している。「村上とは昔からの友達なので、柳田さんが間に入ってくれるのは、とても助かります。厳しい目で色々と指摘してもらえる事もあるし、一番しっかりしてくれてると思いますね。僕ら2人は甘いので。笑」
「裏表もないですし、基本的にはすごく穏やかな人ですよ。それでも言う時は、きちっと言ってくれる。ありがたいですよ」誰にでも相談できる、風通しの良い職場が理想と話す吉川さんは、柳田さんの「配慮」についても、しっかりと感じ取っていた。「柳田さんに言われても、不思議と腹が立たないんですよ。言い方にトゲがないというか。それを自然にしてくれるので、やりやすいですよね」同じ言葉でも、言い方1つでギクシャクしてしまう事もある人間関係。日頃から、相手を想う事を大切にしている柳田さんの言葉は、スクルトの潤滑油だ。
「凛とした女性」
スクルトオフィス内のシェアスペースに入居している建築事務所BEYOND DESIGN OFFICEの滝さんの言葉だ。「初めて見た方の中には、きつい印象を受ける方もいるんちゃうかなぁと思うけど、全然そんな事ない。礼儀正しいし、優しいですよ」ランチを共にするなど、日頃から交流のある2社。異業種ながら、お互いに良い刺激になっているという。社外へも欠かさない柳田さんの配慮は、滝さんにも届いていた。
パタパタと
「他人のことは、もの凄く丁寧だし、優しいんですよ。でも、自分の事になると、雑です。笑」そう言って笑うのは、日頃から柳田さんを一番近くで見ている村上さんだ。仕事以外の柳田さんの事もよく知る村上さんを前に、聞きたい衝動を抑えられなかった。柳田さんて、普段はどんな方なんですか。「自分はどうなってもかまんと思っている所がありますよね。自分の事はすごく雑ですから。凄い高い服を寝間着に使ったり、色んな所にぶつかりながら歩いたりしてますからね。たまに、おいおい大丈夫か、って思うときはあります。笑」旦那様ならではのコメントに、思わず笑いを堪えられなかった。少女漫画の主人公さながらに、パタパタと周りにぶつかりながら進む柳田さんを、容易に想像できたからだ。
似た者同士
照れ隠しに、冗談を交えながら柳田さんの事を教えてくれる村上さんの言葉の端々には、日頃の感謝の気持ちが現れていた。「日頃から厳しい事を言うてくれるのは、それを言わないと困る人がおるっていう事を理解してくれてるんですよ。それはお客さんだったり、関係者だったりするんですが、その人たちのために、自分が悪役になって言ってくれてるなぁっていうのは思いますね。そういう意味での優しさは感じます。ちっちゃい事で感じる優しさっていうよりは、もっと大きな意味での優しさって感じかな」自分の事は二の次で、他人を想う。すると、結果的に周りから信頼されて、事がうまく進む。柳田さんの事をそう説明する村上さんは、全く同じようにスクルトという会社を経営してきた。経営理念がしっかりと仲間に浸透しているのか、やはり夫婦似た者同士なのか。ご本人たちは認めないだろうが、きっと後者だろうなぁと、楽しそうに話すお二人の様子を見て思う。
理由が分かる
「自分ができないから、人に優しくできるんだと思います。」周りにいる皆から「優しい」と言われる柳田さん。本人はその理由を、こう分析していた。そのきっかけとなったのが、アパレル会社に勤めていた前職での経験だ。厳しい上司のもとで、毎日怒られながらも、努力を続け、副店長を任させるようになったという。「後輩スタッフのミスを指摘する時は、相手の立場に立って伝える事を意識してました。頭ごなしに怒るのではなくて、『私も同じミスしてきたよ』と、次からどうすれば良いか話してました。自分ができなかったからこそ、その子のできない理由が分かるんですよ」怒られながらも努力を重ねて、できなかった事を1つ1つクリアしてきた柳田さんだからこそ、相手の気持ちに寄り添って伝える事を最も大切にしてこれたのだ。そして、それはスクルトでも生かされていた。社内でのコミュニケーションはもちろん、社外でのコミュニケーションでも、常に相手の想いに寄り添う。スクルトがクライアントから信頼されているのは、柳田さんの「配慮」があったからだろう。
子どもと会社の成長
「子どもは最大の癒しですよ」休日は子どもとべったり過ごすという柳田さん。やはり子育ては大変だが、それ以上に、元気の源になっているという。「子どものことで、毎日イライラすることもあるんですけど、最終的には子どもに癒されて毎日終わってますね。色々あっても、子どもがニコってするだけで、全てチャラになるんですよ。笑」
仕事でも、自分の想いをきちんと伝える事を大切にしている柳田さんだが、子どもに対しても、大切に伝えている言葉があった。「『大好きだよ』って、言うようにしてますね。それを聞くと安心するだろうし、愛されているのがわかってもらえるだろうと思うんです」ここでも、言われた子どもの気持ちを汲むことを忘れない。「最近は、言葉のキャッチボールもできるようになったので、めちゃくちゃ子育てが面白いですよ」子どもの成長過程は、「できない」ことが「できる」ようになるプロセスでもある。それは会社のそれにも、どこか通ずる。そこに、きちんと気持ちに寄り添ってくれる、優しい存在。まっすぐに育っていくためには欠かせない存在だ。
かの有名ロックスターも、自身を「劣等生」と称する場面が多かったという。だからこそ、多くの人が「自分の事を歌っている曲だ」と、共感できたのだろう。畑は違えど、人の気持ちを汲んで伝えるということが、人に優しくするための大原則だという事は違わない。クライアントを第一に考え、成長を続けるデザイン会社の真ん中には、皆を支える優しい女性の存在があった。
(2017/7/16 秋吉直樹)
ヒトコト
人事担当の吉川さんからのヒトコト
障がい者
基本的にデザイナーを募集しているので、
LGBT
全然問題ないです。
外国人
コミュニケーションの問題上、日本語が話せれば大丈夫です。
65歳以上
年齢での制限はありませんが、今の流行や、
子育て後の復職者
全然OKですよ。村上の息子もたまに事務所に来ていますので、
ブランクからの復職者
試用期間を設けることでデザイン業務ができるとかであれば全然ア
株式会社スクルト
所在地
香川県高松市牟礼町大町103-2
募集職種
グラフィックデザイナー
雇用形態
①正社員 ②パート・アルバイト※勤務時間応相談
給与
①基本給200,000円~300,000円 以降能力に応じる
②時給1,000円〜 以降能力に応じる
福利厚生
①社会保険/交通費
②交通費(勤務時間により社会保険適用)
仕事内容
主にブランディングを軸としたロゴ、パッケージ、広告、 WEB、ポスター、ショップツール等の企画・デザイン。
勤務地
香川県高松市牟礼町大町103-2
勤務時間
①正社員
平日:9:00~18:00(1h休憩)の8時間
土曜:10:00~18:00(1h休憩)の7時間
②アルバイト 応相談
休日休暇
第2、第4土曜・日曜・祝日
求める人
実務経験3年以上。illustrator・photoshopが問題なく使える方。
アートディレクションできる方、WEBデザインできる方優遇します。
募集期間
随時
採用予定人数
1名
選考プロセス
まずは下のフォームからお問い合わせください▶︎書類選考※▶︎面接
※書類選考の際は、履歴書・職務経歴書・ポートフォリオ(必須)をお送りいただきます。
その他
面接の際は自分が一番オシャレだと思う私服でお越しください。