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「やっぱりゴールした時が一番最高やね」
ホテルセカンドステージ 藤本康之さん

「ナイスシュート!」体験するホテル「ご自由に」という無責任をやめる好きなことに気がつく職場自分も楽しむ型にはまらない楽しむことに真剣心の距離がジリジリと…ヒトコト求人情報

「ナイスシュート!」

ある日の夜、高松市内のフットサルコートは、大勢の人で賑わっていた。大学生や社会人など、様々なグループが、ボールを追いかけ汗を流している。時折「よっしゃー」とか「わー」といった雄叫びが聞こえてくるほど、皆それぞれに楽しそう。その中でも、ひときわ楽しんでる人がいた。ホテルセカンドステージの藤本さんだ。「フットサルをせんと、休んだ気がせんのですよ」藤本さんにとって、フットサルは気持ちをリセットするための大切な時間。そのために、毎週水曜日に休みをもらっているほどの筋金入りだ。ちなみにこの日、取材に伺ったはずの私も、一緒になってフットサルを楽しませてもらった。藤本さんに初めてお会いした日に「どうせ取材するなら、一緒にやりましょうよ」と、誘っていただいたからだ。向こうから、すっと、心の距離を一歩近づけてくれる。そんな気持ちが嬉しくて、久々にフットサルシューズに足を通した。みっちり1時間。同じコートの上で同じボールを追いかけ、汗だくになった頃には、取材する側とされる側ではなく、友達同士に近い感覚になっていた。「どうでした。楽しかったですか。」肩で息をしながらも、こちらを気遣い話しかけてくれた藤本さん。お話していると、なんだかずっと前から知り合いだったような、そんな親近感すら湧いてくる。きっと、ホテルに来るお客さんも同じような気持ちになるんだろう。「やっさん、また来るね」帰り際、お客さんからこんな言葉をかけてもらえるホテルマンは、そう多くは無い。お客さんとホテルマンから始まる関係も、帰る頃にはそれ以上の、もっと心の距離が近い関係になっている。どうしてそんなことができるんだろう。この問いの答えは、藤本さんの働き方の中にたくさん詰まっていた。

体験するホテル

「お、涼しい」高松市街地から山間へ車を走らせること約30分、高松市塩江町にあるセカンドステージに到着した。塩江町は、知る人ぞ知る香川県の温泉郷。高松空港と目と鼻の先ということもあって、近年ではアジアを中心に、多くの外国人観光客も訪れている。7月後半のこの日、市街地ではモワッと暑い空気が流れていたが、ここに流れていたのは、涼しくて気持ちの良い風ときれいな川。夏休み中だったこともあり、たくさんの子どもがパンツ一丁ではしゃいでいた。テレビや映画に出てくる、古き良き田舎風景。おばあちゃんの家に帰ってきたような、懐かしい感じのする地域だ。

セカンドステージには、多くのお客さんが「体験」を求めてやってくる。うどん打ち体験やドラム缶窯で焼きあげるピザ作り体験、イノシシを丸ごと味わうプランまである。選べる体験は10種類以上だ。阿讃山麓と内場池という、大自然に囲まれながらのバーベキューや流しそうめん、グランドゴルフは、さぞかし贅沢な時間になるのだろう。子どもから大人まで、そして、外国人までもが、こうした体験に夢中になる。老若男女にとって嬉しいプランが評判となり、年々客数は増加している。

「ご自由に」という無責任をやめる

そんなセカンドステージで、藤本さんはフロントマネージャーを勤めている。お客さんや旅行会社とのやり取りを受けて、部屋割りや食事内容、スタッフの配置等を考えるのが仕事。お客んさんにとっての、最初の窓口となる役割とも言える。「お客さんが気持ちよく決められるような案内を心がけてます」仕事で大切にしていることを教えてくれた。「ここは体験メニューがたくさんあるので、お客さんに『ご自由に決めてください』っていうのも、逆に無責任やと思うんですよ。人数やったり、どんな集まりなのかを聞いたうえで、お客さんに喜んでいただけるプランをこちらから提案するようにしてますね。ご家族なのか、子ども会なのか、知り合い同士なのか、それによっても提案内容は変えます。大事なのは、あくまでお客さんが選んでいるっていう感覚のまま、こちらが体験して欲しいものを体験していただくってことですね」自分で選びたい。でも、オススメは知りたい。日頃、いろんなサービスを選んでいる私たちに共通する想いではないだろうか。私たちの状況やニーズを聞き取り、それに合ったプランを提供する。心から、お客さんに楽しんでもらいたいと思っているからこそできる行動だ。

好きなことに気がつく職場

藤本さんは、もう一つの顔を持っている。各種体験のインストラクターだ。主に野外で行う体験メニューを安全に、そして、楽しく行うための案内役である。「お子さんの笑顔を見るのがやっぱり嬉しいですよね。『やっさん、やっさん』って慕ってくれたり、最後に『楽しかった』って言ってもらえた時は、よっしゃ!って思います」セカンドステージでの体験が、お客さんにとって最高の時間になるかどうか。インストラクターの腕の見せ所だろう。お客さんから笑顔や感謝の言葉をいただくために、必死にこの仕事を全うした藤本さんは、この仕事を通じて、自分の「好きなこと」に気がついていた。「人に楽しんでもらうのが好きなんでしょうね。これって、ここで働くようになって芽生えた感情なんですよ。体験活動って、お客さんの笑顔とかやりとりとか、もろに見えるでしょ。そうなると、次はどうやって喜んでもらおうとかって、色々と考えるようになるんですよ。毎回同じことはあえてしない。ちょっとずつでも変えていこうと思ってますよね」

「良いものはガンガン盗みますよ。笑」藤本さんに、お客さんを喜ばせるためにどんな工夫をしているのか聞いた時だ。「色々見て、いいなぁと思ったら盗むんですよ。だから、他のスタッフのこととか、お客さんのこととか、結構見てます。お客さん自身が自分たちの子どもしてることって、かなりヒントになるんです。あぁ、そうやればいいのかって、次からは当然のように盗みますね。笑」この日も藤本さんは、30名ほどの親子と一緒に、アマゴのつかみ取り体験を行なった。その途中途中で、「ここはこうするといいんですよ」と、お客さんを楽しませるための工夫をたくさん耳打ちしてくれた。アマゴを捕まえて食べる。シンプルな体験だが、命の大切さを学べる工夫や、子ども達の好奇心をくすぐる工夫が随所に施されている。きっと、藤本さんが盗んできたものが、たくさん散りばめられているんだろう。大人も子どもも、この夏の特別な思い出ができて満足そうだ。それを見ている藤本は、もちろん、もっと満足そう。

自分も楽しむ

「うちはホテルではなく、大きな民宿なんです」そう話すのは、支配人の薮内さん。「うちのスタッフは未経験の方が多くて、一般のホテルのようなマニュアル化したサービスはできないんですよ。どちらかというと、親戚のうちに泊まりに来たようなおもてなししかできない。でも、結果的に、そこがうちの強みだと思ってます」確かに、マニュアル化されたサービスに間違いは少ない。しかし、それに頼ってしまうと、お客さんを感動させることは難しいんだろう。「スタッフの方が親切でした」大手予約サイトにあるセカンドステージの口コミ欄には、こんな言葉が数多く並んでいる。それぞれのスタッフが、それぞれの家族にするようにサービスをする、真心こもった接客の賜物だ。

「ちょっと頼りないところもあるんですけどね、そこがいいのかなぁと思ってます。笑」薮内さんに、日頃の藤本さんについて聞いてみると、笑顔でこう切り出してくれた。「お客さんからすごく信頼されてるんですよ。親しみやすいんでしょうね。相手の立場に立って、いろんなことを提案してるので、お客さんもそれを感じてくださってるんだと思います。あとは、自分で楽しむのも上手なんですよ。藤本さん自身もお客さんと一緒に楽しんでます。昨日だって、バーベキューしたお客さんと、一緒にサッカーしてましたから。笑」人に楽しんでもらうのが好きと話していた藤本さん。きっと、それと同じくらい、自分も楽しむのが好きなんだろう。だから、楽しむ側の立場に立って、様々な提案をすることができるのだ。自分たちのことを真剣に考えてくれて、自分たちと同じくらい楽しんでくれているスタッフさんなんて、そりゃあ親しみやすいに違いない。

型にはまらない

藤本さんが仕事を楽しむ姿は、一緒に働く同僚にも伝わっていた。「藤本さんは、基本的には、すごく人生楽しんでますよね。笑」厨房を担当している松岡さんだ。日頃から、お客さんからの要望を受ける藤本さんと連携しながら、お客さんにとって一番良いメニューやタイミングを考えている。「ホテルって、型にはまった接客になりがちですけど、ここはそういうのはあまりないんです。特に藤本さんは、お客さんに寄り添った接客をしてますよね。方言で話したり、一緒に何かしたり、お客さんに近い感じがあります。お客さん受けがすごくいいんですよ。あれは勉強してできるもんじゃないと思うなぁ」そう言って優しく笑う松岡さんも、物腰柔らかで、とてもおおらかな人だ。型にはまらず、自分の頭で考えて行動できる。そんな働き方が自分に合っていると、松岡さんはセカンドステージで働き始めて来年10年目を迎えようとしている。

楽しむことに真剣

仕事同様、藤本さんが楽しんでいるものが、冒頭で紹介したフットサル。休みの日はほとんど欠かさずに行なっているという。「やっぱりゴールした時が一番最高やね。周りの人間との意思疎通って言うんかな、スパッと決まった時は気持ちいいんですよ。自分と相手が同じこと考えてて、パスが繋がって、相手に触らさんと入った時とか、最高ですよね。まぁ自己満足やね。笑」仕事で子どもたちと話している時と同様、フットサルの話もニカーっと笑いながら話してくれた。「負けず嫌いっていうのもあるかもしれんけど、自分が納得いくプレーが一回でもできたらスッキリなんですよ。できんかったら、車の中とかで、一人反省会してるんです。『なんであそこ上手いこといかんかったんやろ』って。そんなもんですよ。笑」好きなものは徹底的に考える。フットサルで自身のプレーを追求する時と、体験でお客さんに楽しんでもらえる方法を考える時、おそらく藤本さんの頭の中は、同じくらいのエネルギーが流れているんだろう。まさに、仕事もプライベートも、楽しむことに真剣だ。

心の距離がジリジリと…

フットサルと仕事。一見バラバラだが、どちらも藤本さんが大切にしてること。何か共通するものがあるのか知りたくなって、思い切って本人に聞いてみた。すると、いつもニコニコしている藤本さんが、いつになく真剣な表情になり少し「うーん…」と考えたあと、こう話してくれた。「フットサルって、ボールだけ見ててもダメなんですよ。周りの動きも瞬時に見る必要があるんです。相手の望んているところに動くとか、相手が望んでいるところにパスを出すとか。団体競技なんですよねまさに。そういう周りの見方は仕事にも役立ってますよね。世の中に出たら、一人でできることなんて限られてますから、スタッフとかお客さんと協力してやらないと、いいものはできんのですよ」フロントや厨房、客室係など、たくさんのスタッフと連携しながら行うホテルという仕事。藤本さんの場合、そこにお客さんも加えて、みんなで最高の時間を創ろうという想いがあった。日頃のフットサルを通じて、周りと連携して良いパフォーマンスを出す動き方を磨いているんだなぁと、感心していると「ま、実際フットサルしてる時はそんなこと考えてないけどね」と、ニカーっと笑ういつものやっさんスマイルに戻っていた。思わずつられて笑ってしまう。またグッと、そして今度はこちらから、心の距離が近づいた気がした。

最後に、セカンドステージで一緒に働く人へ、メッセージをいただいた。「まだまだ発展途上の会社なので、これから盛り上げていくのは、新しいみなさんだと思うんです。ここでの仕事って、他ではなかなか体験できないようなものなので、そこは向き不向きはあると思うけど、ぜひ一歩踏み出して欲しいですね。俺はええと思うけどねぇ、最高ですよ」スタッフやお客さんと一緒に楽しい時間をつくる仕事。そして、仕事を楽しんでいる人たちと一緒にする仕事は、きっと格別なんだろうなぁ。最後まで笑顔で、楽しそうに取材に応じてくださった藤本さんを見ていて、そんなことを考えていた。自然体で親しみやすく、人を楽しませることが好き。そんな藤本さんの魅力のおかげで、心の距離はもうほとんど見当たらない。あっという間の楽しい時間だった。「やっさん、ありがとうございました。また来ます」

(2017/8/5 秋吉直樹)

ヒトコト

支配人の薮内さんからのヒトコト

障がい者

特に障害があるからという理由で、採用をお断りすることは考えてないです。ただ、かなり体力を使う仕事なので、体力的な所と、接客業なので、お客様と意思疎通ができるかという所は、考慮すると思います。


LGBT

全然、問題ないです。前に台湾の研修生の中に当事者がいたんですが、何の問題もなかったです。当事者だということが分かったからといって、別に私たちの方で特別視することもなく、普通に働いていただけていたかなと思います。


外国人

大学生の研修先として、研修生の受入をしています。昔、うちで研修をした女性が、一度母国に帰って、日本の他のホテルで働いてます。彼女は「もう一回セカンドステージに戻りたい」と言ってくれているので、嬉しいですね。お客様に海外の方が多いので、スタッフも海外の方がいた方が助かります。


65歳以上

うちのスタッフには65歳以上はたくさんいますよ!笑 若い人よりも知識がありますし、接客のご経験が生きるケースもあるので、逆に助かることも多いです。年齢は問題ではないですね。


子育て後の復職者

今のフロントは、子育て中のママですが、うちで復職してくれてます。無理のない範囲で働いてもらえたらなぁと思ってます。


ブランクからの復職者

お客様との接客があるので、必ず面接させていただいてから採用になるんですが、履歴書にブランクがあっても、面接の時点で仕事に対する熱意があれば問題ないです。

ヒトコトとは?

株式会社しおのえ


所在地

〒761-1614 香川県高松市塩江町上西乙1118-8


募集職種

ホテルスタッフ


雇用形態

正社員


給与

月給18万円~

※交通費別途支給


福利厚生

社会保険、雇用保険、社員寮有


仕事内容 

フロント業務・館内清掃・レストランホール


勤務地

ホテルセカンドステージ

〒761-1614 香川県高松市塩江町上西乙1118-8


勤務時間

8:00~20:00(シフト制)


休日休暇

週休2


求める人

お客様の笑顔にやりがいを感じる人


募集期間

随時


採用予定人数

2名


選考プロセス

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